読了本ストッカー:主人公が強すぎるので、安心して読めます。……『鬼麿斬人剣』

鬼麿斬人剣
隆慶一郎  新潮文庫


2007/5/8読了。


実在の刀工、山浦環源清麿の弟子・鬼麿を主人公とする伝奇時代小説です。文庫裏表紙の解説がこの本の内容を余すことなく書き記しているので引用しますと・・・



山中に捨てられ、長じて名刀工・源清麿に師事した巨躯の野人・鬼麿は、亡き師が心ならずも遺した数打ちの駄刀を諸国に捜し、折り捨てる旅に出た。試し剣術独特の構えから繰り出されるその長刀は、人も刀も石も鉄も瞬時に切り裂く。中山道、野麦街道、丹波路、山陰道と、師の足跡を追い、女を惹きつけ、伊賀者に追われつつ、異色のヒーローが繰り広げる斬人剣八番勝負。


過不足ない見事な解説!(笑)
「師の足跡を追い、女を惹きつけ、伊賀者に追われつつ」ってとこがすべてです(笑)。
鬼麿のサンカ出身という設定や、幕府権力の及ばぬ朝廷直轄のかくれ里の存在など、隆慶一郎時代小説の要素が散見されます。類型的なストーリー運びではありますが、「江戸期刀剣史上有名な事件になった真田藩試刀会」など史実を巧みに取り込んでストーリーを組み立てる伝奇小説手腕(?)は見事。