読了本ストッカー:ノンストップで読める臨死体験SF!……『航路㊤』

航路〈上〉


コニー・ウィリス  ヴィレッジブックス


2007/4/23読了。


「SFの女王」コニー・ウィリスによる臨死体験(NDE)SFです。NDEを科学方面から見つめる姿勢は、瀬名秀明氏の傑作SF『Brain valley』(記述師文庫堂旧店舗読了本ストッカー2006・1)を思い起こさせます。


認知心理学者のジョアンナは、総合病院マーシー・ジェネラルでNDE体験者の聞き取り調査をしています。NDEをあの世の証明であると主張する宿敵(相手はそう思っていませんが)のノンフィクション作家マンドレイクに邪魔されつつ、調査を進めるジョアンナですが、ある日神経内科医のリチャードからあるプロジェクトに誘われます。リチャードはNDEをサバイバルメカニズム、つまり心停止から脳を守ろうとする働きによる「副作用」と考えており、人工的にNDEを起こし解析することで心停止からの蘇生技術に応用しようと考えていたのです。
ある理由から自ら人工NDEを体験することになるジョアンナですが、NDE中に「あるもの」を見たことから・・・。あとは読んでのお楽しみ!


“平然と”何度も心停止をくぐり抜けてきた、「災害オタク」の少女メイジーの設定が素敵!
各章の扉に引用されている、著名人や有名災害での臨終の言葉もいい雰囲気を醸し出していますし、工事やペンキ塗りでなかなか行きたい場所にたどり着けない迷宮のようなマーシー・ジェネラルも爆笑もの。いやあ面白いです。上巻で既に五つ星の気配が。