読了本ストッカー:「文学館」シリーズ第二弾……『ローズさん』澤井美穂/フレーベル館



2018/10/29読了。

中学二年生の吹田惟は、母親とピアノの件で衝突し、父方の祖母が住む町に引っ越してきます。

「今さら子守はごめんだよ。自分のことは自分でする、この約束が守れなかったら帰ってもらう。孫だからってちやほやしないし、特別扱いもしないよ」と惟に構わず、自分の生活を続ける祖母、窈子さん。

学校で、総合学習の時間に「ローズさん」という町に伝わる都市伝説を調べることになった惟は、音楽室で出会った少年幸志郎とともに調査をする事になります。

前作『赤いペン』に引き続き、町の「文学館」が出てくるシリーズとも言える本書。
自立した生活をおくる祖母、そこに越してきていきる力を身につける孫娘、海外の色づけは「ローズさん」に移っているとはいえ、どうしても『西の魔女は死んだ』を思い起こします。

でもそこはどうでもいいことです。町に伝わるすでに怪談と化した「ローズさん」と、真実の「ローズさん」の違いはなぜなのか?
「こうに違いない」と人を型にはめようとする世界と人々、そこから逃れようとする惟の姿が心をうちます。