読了本ストッカー:傑作○○!……『ふたつの月の物語』富安陽子/講談社



2017/9/1読了。

こ、これは傑作でした!
富安陽子氏は初読書。
『やまんばのむすめまゆ』シリーズとか絵本は読んだことありましたが、がっつりとした単行本はこれがはじめて。
児童書ブログの『児童書読書日記』さんで知って読んでみました。

まさか○○だったとはなあー! これはテッド・チャンが言うところの○○ですね!
てっきりホラー的着地をすると思ってしまってました。

養護施設で暮らしていた14歳のみづきと、育ての親を亡くし、天涯孤独となった同じく14歳のあかり。
ふたりの里親になりたいという富豪の老婦人があわられ、ふたりとも別荘に招かれます。
ふたりはそれぞれ秘密を持っており(最初に明かされるので言ってしまいますと、みづきは鋭い嗅覚をもち、人の感情などを嗅ぎ分ける?ことができ、ふたりとも闇で目が青く光ります)、自分たちがなぜ招かれたのか、を巡る物語がスタートします。

三人称ですが、みづきとあかりそれぞれの視点の章が交互に描かれます。
驚くほどの美少女であるみづきが、服装に興味がなく驚くほどダサい服装をしていたり、「バカにつける薬はない」という英文が書かれたTシャツを知らずに着ているあかりをみづきが嘆いたり、そこはかとないユーモアがとても上品ですてきです!

「お調子者はポップコーンのにおいがする」らしいです(笑)。

ラストは本気で驚いてしまいました。
てっきりある人物の希望に対して、それを挫く結末をつけるものだとばかり思っていました。
たしかに挫かれているんですが、その人物のさらなる選択が……。
強引に実行して、全員が不幸になるラストしか見えていませんでした。
いや、富安陽子おそるべし!

すでにチェックはしていた『天と地の方程式』シリーズはもちろんですが、『シノダ!』シリーズや『ムジナ探偵局』シリーズも全部読んでみよう!

これはなんか映画化できそう。