その作劇技法がとても印象的で読んでみたいと思っていました。
◆「陽子のいる風景」……絵がうまいなあ!というのが第一印象! モノローグ的なものは全くなく、最小限のセリフで登場人物の関係性などを説明します。主人公陽子の人生を左右するような事態も起こってますが、別に結論がでるわけでもなく、淡々とした物語でした。
◆「ちひろ」……同じく日常の風景を描いたものですが、主人公は女子中学生。なんの説明もないのに、父を恋しく思い、母に心配をかけまいとする心情がビンビン伝わってきます。
◆「Picnic」……え!? 時代劇も描くの!? と驚く突然の時代物。関ヶ原の合戦時、村総出で見物に向かう百姓たちを描きます。まさに「ピクニック」。
◆「大力伝」……福島正則に仕えた大崎玄蕃允長行(に仕えた大兵の婢女・お柳)を描いた時代物です。合戦時の鎧の絵など、平田弘史氏も顔負けだなあと思いながら読んでいたのですが、これまた山本氏の巻末解説によると、白山氏は平田作品が大好きだったとのこと。平田弘史氏も本書に追悼文を載せています。