読了本ストッカー:アイガー版「神々の山嶺」!……『北壁の死闘』ボブ・ラングレー/創元推理文庫


最近、古めの本を読むのが億劫になっていたんだけど(退屈だったらどうしよう!という恐怖があり)、【本の雑誌 2017/6月号】の特集が「山の本」だったこともあって、読んでみました。
結論からいうと、大正解! むちゃくちゃ面白い傑作でした。

1980年代後半(多分……)、アイガー北壁の「神々のトラバース」でひとりの遺体が発見されます。
その遺体はナチの軍人らしく、「エーリッヒ・シュペングラー」名義の勲章と、「ヘレーネ・レスナー」との裏書きのある女性の写真が入ったロケットを身につけていたのでした。
発見は報道されることなく、箝口令が敷かれますが、BBCの調査員ローレンス・ヘムズワースが調査に乗りだし……そして、調査の結果を小説化したのが本書、という設定です。

もうなんといっても登攀の描写がすごい! 富士山経験しかない私では想像を絶する恐ろしさ。
富士山に登ったとき、「この鎖がなかったらここ登れないよな……」と思ったものでしたが、「誰かが登ったあと」であることの安堵感は本当にありますよね。だから(第一登でないにしろ)足跡のない道を行く恐怖はまったく感じたことのない、想像もつかないことです……。
ミステリチックなところもあり、とても面白かった!

私の山岳小説初体験が超傑作『神々の山嶺』なもので、アイガー版としましたが、もちろんこっちが古いんですけども。