2017/1/13読了。
「
直木賞のすべて」「
芥川賞のすべて・のようなもの」という両賞の歴史のすべてを特集したサイトを運営される、
川口則弘氏による著作です。
第1回から第147回までを網羅しています。
もともとが出版界の売上に貢献すべく作られた両賞ですから当然なのですが、結構版元や審査員の都合が透けて見えるのが面白いです。
「与えるべくして与えた」年もあれば、「与えそこねた」年もあり。
第21回の受賞作『本の話』の著者、
由起しげ子氏の文章が面白すぎます!
「由来「審査員」といふものは
セザンヌを終生落選させたといふ栄光ある歴史をもつてゐるものでもあるから、「本の話」に間違って受賞したなどといふことは取るにもたらぬことであらうが、折角権威ありと云はれる
芥川賞のためにも、今後はもうすこし確信のある審査をし、賞をほしがったり頼みこんだわけでもないこの人を無用に過つたり辱かしめたりしない方がよかろう、と思ふがどうであらうか」
川口氏の
芥川賞に対する愛憎半ばする思いが、次のような文章に表れていますね。
芥川賞はいまも、文芸の最高峰と勘違いされ、権威ある賞と仰ぎ見られ、選考委員の目は節穴だと馬鹿にされ、歴史的役割は終わったと言われ、空疎で茶番な代物だと指摘される。指摘されつづけてきている。あるいは一年後も十年後も百年後も。
芥川賞が続くかぎり。