読了本ストッカー『江戸「うつろ舟」ミステリー』
2012/3/12読了。
昔の日本にUFOがきた証拠の文献として知られる「うつろ舟」伝説に迫るノンフィクションです。
常陸国の海岸に漂着した舟に関するものは、滝沢馬琴らの書いた奇談集『兎園小説』(1825年)の「うつろ舟の蛮女」という記事、長橋亦次郎が書いた随筆集『梅の塵』(1844年)の「空船の事」という記事。
柳田国男は論文「うつぼ舟の話」のなかで、検証できないように話が作られていることなどから、「此話は兎園小説を始めとして、当時の筆豆人の随筆には幾らも出て居る。何れも出処は一つであるらしく、疑ひも無く作り事であった」と書いている。
それ以外にも
・伊予の国の河野家の始祖、小千御子の話
・肥後国八代地方に伝わる牡丹長者の話
・柳原紀光の随筆『閑窓自話』
・尾張藩士朝日文左衛門の書いた『鸚鵡籠中記』
などの記録が残っている。すべてに共通するわけではないが、頻出するのは、「女が一人」「(男の)生首」「干菓子」「ビイドロの張られた船」というキーワード。
なぜUFOのような形状か?
柳田国男は丸木舟だと言っている。
『海人たちの足跡#環対馬海峡の基層文化』(永留久恵 白水社)によれば、対馬のうつろ舟伝説は東アジアの神話を下敷きにしている(新羅)。
どの記事が初出かをしっかりと追う姿勢がいいなあ~!