読了本ストッカー『蛇神降臨記』



2011/3/8読了。

マヤ暦の2012/12/21。意味深だなあ……。
精神科のインターンであるドミニク・バスケスは、罪を犯した精神異常者を収容する南フロリダ評価治療センターに研修のため着任。
そこで11年も独房生活を強いられているマイケル・ガブリエルの担当となります。
彼は、アメリカ合衆国国務長官ピエール・ボルジアを殴打した罪で収監されています。もうすぐマヤ暦の終わりと共に地球が滅びてしまうと解くマイケルに、「本当は正常なのでは?」と考えるドミニク。

フツーのミステリならどちらが正常なのか、で随分引っ張れるとこですが、そこは『蛇神降臨記』。
6500万年前、外宇宙から飛来した宇宙船の墜落によって恐竜が滅びる様なとが挿入され、明らかにマイケルが正しいことは最初から自明(笑)。
マイケルの父親であるジュリアス・ガブリエル博士の研究手記が挿入されますが……マヤ文明を導いたクルルカンは「豊かな白い顎ひげをたくわえた白色人種」。アステカ文明ケツァルコアトルは「顎ひげをたくわえた伝説的な賢者」、インカ文明のビラコチャもまた「豊かな白い顎ひげをたくわえた白髪の賢者」。ついにはあのアーサー王の宮殿の知恵袋マーリンも、「顎ひげのある賢者」。おぉぉミラクル!てなもんです。

前半では、突如地球に向けられた指向性ビームによって、回路を焼ききられた探査機が行方不明になり、アレシボの国立天文学電離層センターが捜査を開始したら、信号をキャッチ。すわ宇宙からのメッセージか?というところはファーストコンタクトSF。
と見せかけて、メキシコ湾に落ち、恐竜を絶滅させた宇宙船が活動をはじめ、沸き出した黒い物体(曰く「エイリアンのくそ」)で大パニックがおきる(触れたら全身から出血して死亡)場面は、バイオハザードSF。
と思いきや、米露中間での全面核戦争が起きて、至るところで着弾するし、もう盛りだくさん。でも最終的には、マイケル・ガブリエルに集約されてしまうので……SFとは言えないですね。ファンタジー、もしくは伝奇ですね。

「統一的に理解する」というのがミソですよね。
だいたい統一理論を作り出したいメンタリティがオカルトを産み出すんだと思うんですが。