ラッシュライフ (新潮文庫)
著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
発売日:2005-04
2009/6/11読了。
久しぶりの伊坂幸太郎作品。恩田陸氏の『ドミノ』のように視点人物が様々に入れ換わりながら、ストーリーが進んでいきます。
それにしても、空き巣に入った先で、領収書を置いてくる泥棒・黒澤がかっこよすぎる!!
「世の中にはルートばかりが溢れている、とね。そう言ったよ。人生という道には、標識と地図ばかりがあるのだ、と。道を外れるための道まである。森に入っても標識は立っている。自分を見詰め直すために旅に出るのであれば、そのための本だってある。浮浪者になるためのルートだって用意されている」
引用したくなる文章が盛りだくさん!
いやぁ……伊坂幸太郎すごいなあ~!登場人物が東京駅に集まってくる『ドミノ』となんとなく重ねて読んでいたのですが、仕掛けのレベルが違った、レベルが。これを読んじゃうと『イニシエーション・ラブ』が俄然色あせます。
それぞれの視点人物は限られた情報しか得ていないけど、ただ読者のみがすべての答えを知っているという記述師好みの傑作でした。『オーデュポンの祈り』のときはそんなに思わなかったけれど、現代を、そして現実の都市を舞台とした本書のほうが、強い寓話性を感じました。伊坂幸太郎読むべし!