読了本ストッカー:暗~い……『バベル消滅』

バベル消滅 (角川文庫)バベル消滅 (角川文庫)
著者:飛鳥部 勝則
販売元:角川書店
発売日:2001-08


 


 


2009/1/19読了。


飛鳥部作品は『殉教カテリナ車輪』に次いで2作目です。


新潟の鷹島という島で起きる連続殺人事件。『殉教カテリナ車輪』と同様に何人かの視点から物語は進むのですが……なんたって暗い!出てくる人物がみんな<どんよりした目>をしてるし読んでいてつらい(笑)。


大体、連続殺人事件だと思っているのは、登場人物の内の一人のミステリマニアだけだし(警察の内部描写はないので)、それを登場人物自身もわかっている(偶然に過ぎないのではないのか?と自問自答したりする)ので……<刑事役を演じる舞台俳優のよう>な刑事が登場するに至っては、まさかメタミステリ?と疑ってしまいます。


この酩酊(登場人物が)感、陶酔(登場人物が)感、そして美術を枕に話が進むところ、なんだか麻耶雄嵩氏の作品を読んでいるみたい。突如としてカマクラ作ったりしちゃうし青春小説になったりしちゃうし。


巻末の<単行本あとがき>がリキ入っています。飛鳥部氏がミステリという形式に自覚的な作家であることはよくわかります。摩耶氏のように内宇宙に向かってしまわないように、切に願います。