読了本ストッカー:ありゃ?もう終わり?……『夭都七事件』

夭都七事件―大東京三十五区 (祥伝社文庫)夭都七事件―大東京三十五区 (祥伝社文庫)
著者:物集 高音
販売元:祥伝社
発売日:2007-03


 


 


2009/1/14読了。


前作『冥都七事件』はずいぶん前に読んだのですが、案外本書は見つからず、久々の物集氏作品(2作目ですけれどね)です。あんな大団円で前作終了したのに、今回はどうなるのかなあと思って読み始めましたが……またあっさりと(笑)。相変わらず昭和初期早稲田大学の遊民学生阿閉万(あとじよろず)が持ち込む明治の怪事件を、家主の隠居、玄翁先生こと間直瀬玄蕃(まなせげんば)が読み解く連作短編集です。



◆其ノ一【浅草】死骸、天ヨリ雨ル
……というわけであっさりと始まった1作目は、明治二十年、浅草の見世物小屋で空から首なし死体が降ってきた事件を玄翁先生が推理(?)します。


◆其ノ二【高輪】坂ヲ跳ネ往クサレコウベ
……高輪天神坂に飛ぶドクロの謎を探ります。


 ◆其ノ三【麻布】画美人、老ユルノ怪
……今回、絵に書かれた人物が日に日に老いていく謎を解くのは、ひと呼んで<智恵も贅肉も百貫>、<脳髄のつまった肉団子>早稲田大学鏑木小杏博士。


◆其ノ四【日本橋】橋ヨリ消エタル男
……今回は間直瀬玄蕃若かりし頃の手柄話を阿閉君聞かされる之図。


 ◆其ノ五【新宿】子ヲ喰ラフ脱衣婆
……内藤新宿太宗寺の閻魔堂における誘拐事件を追います。


◆其ノ六【上野】血塗ラレシ平和ノ塔
……大正11年、平和記念東京博覧会で平和塔はなぜ赤丸で彩られたのか。


◆其ノ七【駒込】追ヒ縋ル妖ノ荒縄
……跳ねながら後を追ってくる荒縄。


なぜあっさりとしたレビューかといったら、『冥都七事件』と同じようなものを期待していたら、始まりと同様にあっさりとした幕切れだったので。すべての短編をひっくくるエピソードが欲しいんだよなぁ……。解説によると、本書はとても時代考証が優れていて、たった一行にもすごい情報量が含まれている、らしいのですが。そこまでわかんないもんなぁ。シリーズ最終作『亡都七事件』に期待します。これまた見かけませんが。