読了本ストッカー:作家たちの声を聴く……『One author,One book.』

One author, One book ― 同時代文学の語り部たち


新元良一


本の雑誌社


2008/4/30読了。


 


新元氏の『翻訳文学ブックカフェ2』で知った本書。27人の作家へのインタビュー集です。本来はもちろん、作品単体で評価すべきですが、作家自身の記述で読みたくなるものが見つかるかなあと思い、読んで見ました。図書館で借りました。



◆『ガープの世界ジョン・アーヴィング


◆『彷徨う日々』スティーヴ・エリクソン


◆『アメリカン・サイコブレット・イーストン・エリス


◆『王国と権力』ゲイ・タリーズ


◆『殺人容疑』デイヴィッド・グターソン


◆『フロベールのオウム』ジュリアン・バーンズ


◆『パディ・クラーク ハハハ』ロディ・ドイル


◆『イリワッカー』ピーター・ケアリー


◆『ぼくが電話をかけている場所』レイモンド・カーヴァー


◆『キャッチ=22』ジョーゼフ・ヘラー


◆『この世を離れて』ラッセル・バンクス


◆『シングル・マザー』メアリー・モリス


◆『ここではないどこかへ』モナ・シンプソン


◆『マーティンに捧ぐ』デイル・ペック


◆『交換教授』デイヴィッド・ロッジ


◆『最後の瞬間のすごく大きな変化』グレイス・ペイリー


◆『港湾ニュース』E・アニー・プルー


◆『ハイウェイとゴミ溜め』ジュノ・ディアズ


◆『ドリンキング・ライフ』ピート・ハミル


◆『グロテスク』パトリック・マグラア


◆『心臓を貫かれて』マイケル・ギルモア


◆『巡礼者たち』エリザベス・ギルバート


◆『フリーダムランド』リチャード・プライス


◆『アンジェラの灰』フランク・マコート


◆『プッシュ』サファイア


◆『アメリカの鳥たち』ローリー・ムーア


E・アニー・プルーの次の言葉が心に残りました。



(男の主人公を女性作家が描くという創作過程の問題について)その答えは至極簡単。男も女も同じ人間ということ。感情に多少の違いはあっても、共通点に比べれば、それはずっと小さい。女性特有の文学という名のもとで、女性しか描写できず、性別によるジャンル分けをするのは馬鹿げている。どんな内容についても書ける自由が、作家に委ねられているのです。物語として成立するなら、男、女、子ども、犬、草木、貝殻、ロブスターについてのどんな話でも許される」


「私が小説に取り組む過程で、想像力に比較すると、経験の占めるウェイトは微々たるもの」


作家ってやはりすごいなぁと思いました。
インタビュアーをつとめた新元氏は次のように書いています。



自分の言いたいこと、表現したいことは作品の中にある。作家であれ、アーティスト、音楽家、映画監督であれ、そう考えるのはとても自然なことだし、異論を挟むつもりは更々ない。けれど、作品に心酔すればするほど、手掛けた本人に会いたくなる。正直なところ、ミーハー的にその顔見たさというのもなくはないのだが、彼らが創作に向かおうとするエネルギーのようなものを聞くことによって、「心酔した」自分が今、立っている位置が確認できる。世の中に何かを発しようとする人間、しかもそれに共鳴し、感動を覚える相手と対話するのは、同時代に生きることの喜びを与えてくれる。そう思えてならないのだ。


やっぱり英語が必要だな(笑)。