2008/4/4読了。
『怪奇幻想ミステリ150選』で知って手に入れました。
『怪奇幻想ミステリ150選』での情報は<神が殺された。しかも何もない空間に宙吊り>。<神が殺された>という状況をどう描くのか、興味津々で読み始めました。
記述師としては、山田正紀氏や小松左京氏的な<神>の描き方(つまり神がペラペラと喋らないタイプですね)が好きなので・・・。しかし読み始めると・・・そ、そうきたか。ぜ~んぜん違いましたね~。
ま、まあ気を取り直してストーリーを紹介すると、エスパーにしてライターの松田がサイコロニクス(精神力学?)学会に出席するためにパリヘ向かう途中、「殺神事件」に巻き込まれてしまう、てな感じ。場所は英米ソ中四大勢力の拮抗する(時代を感じるなあ)アフガニスタンの秘境ジャンミスタン(架空の土地らしいです)。そこは少数民族が無数に集まり、原始キリスト教や原始仏教、道教、マニ教、ヒンズー教などさまざまな宗教が混在する地域。さらに純血のアーリア人が住むといわれるヌリスタン、アジアに巨大なキリスト教王国を築いているといわれる伝説の王プレスター・ジョンなど、伝奇ワードが頻出!
巻末解説で山田正紀氏が書かれているように、「なんと彼には超能力があったのだ!ババーン!」的な、物語視点も一緒に驚くタイプの描き方ではなく(昔はこういうのが多かったのではないかと予想)、「俺、超能力持ってんだよね、エヘ」的導入(ちょっと違う?)なので、すんなり作品世界に入っていけます。
ミステリで超能力を扱うときは、当然その限界を区切り、かつある程度の段階で設定を出し切ることが必要だと思います。西澤保彦氏の諸作のように。しかし、本書はミステリとして区切りをつける気持ちがなかったようですね、半村氏。ラストとか伝奇的幕切れで面白いんですけどね。ん~、禁じ手?まあまあゴニョゴニョ。
今、<伝説>シリーズを105円で見かけたら買ってるところなので、そっちに期待!(我ながら前向きだなあ)