読了本ストッカー:疑心暗鬼いっぱいで読んでください……『鏡の中は日曜日』

鏡の中は日曜日 (講談社文庫)


殊能将之


講談社文庫


2008/3/6読了。


 


問題作『黒い仏』を書いてしまって次は何?と興味津々で読み始めました。中短篇集となっております。



◆「鏡の中は日曜日



・・・と、しょっぱなから!『翼ある闇』みたいな衝撃だなあ。ま、『黒い仏』がね・・・あるからね・・・。
あらすじはというと・・・ややこしいんですが、まず鮎井郁介という作家が水城優臣という名探偵を主人公とするミステリを書いていました。しかしそのシリーズは「梵貝荘事件」という作品を連載中に途絶。7年後、名探偵石動戯作は出版社から14年前のある殺人事件の再調査を依頼されます。その事件の舞台は梵貝荘。鮎井郁介の著作はすべて実際の事件を元にしており、鮎井が「梵貝荘事件」を書き上げないことに業を煮やした出版社は、実際の事件を解決することで本を出してしまおうとしている、様子なのです。無茶するなあ・・・なんだかメタっぽいなあ・・・『ハサミ男』とかいろいろあるからなあ・・・(疑心暗鬼)。


◆「樒」



・・・『十兵衛両断』で出てきた「相模」がここに!! そうか、意味あったのか・・・。知らんかったなぁ。



○○○が恐れられたのは、彼が死んだからだ。(中略)ぼくは霊魂について語っているのではない。死はすべてを終わらせる。呪詛も憤怒も憎悪も消え失せる。御霊は存在せず、たたりもない。死者は完璧なる不在を体現している。だが、死者がもういないという事実が生者をおびえさせるのだ。存在しているものなら闘うこともできようが、不在の相手に立ち向かうことはできない。(伏字引用者)


意味もなく引用してみました。


◆「榁」



・・・そ、そうきたか!もうどんなちょっとした仕掛けにすぐ感動してしまう記述師。乗っけてくるなあ、殊能氏。


巻末の法月綸太郎氏の解説は難しすぎ。彼くらいミステリを読み込んでいないと、読み解けないんでしょうか、本書。


それにしても殊能作品というだけで、身構えてしまう今日この頃。しかし、疑心暗鬼で読むが吉(笑)。