2007/12/5 読了。
『密室殺人傑作選』に次ぐ、我が心の師、北村薫師の薦めるミステリ基本図書第二弾です。神保町で50円で手に入れたため、むちゃくちゃ日焼けしてます。カバーも古いものですね。
67本という多数のショートミステリを収録しているので、収録タイトルを掲載するだけにしようかと思ったのですが、自分の防備録として<続きを読む>以降に感想を記述しております。ネタを割らないようにしてはいますが、なにぶんミニ・ミステリなので・・・先入観なしで読みたい方はクリックなしでお願いします。
★最初のミニ・ミステリ
- 「探偵業の起源/ニュートン・ニューカーク」
★ミニ・犯罪小説
- 「百万に一つの偶然/サミュエル・ホプキンス・アダムズ」
- 「ハリウッド式殺人法/スティーヴ・アレン」
- 「タイミングの問題/シャーロット・アームストロング」
- 「逆の事態/フィリス・ベントレー」
- 「生きている腕輪/ロバート・ブロック」
- 「保安官、決断を下す/ロアーク・ブラッドフォード」
- 「ウェディング・ドレス/ルイス・ブロムフィールド」
- 「検死審問/マーク・コネリー」
- 「牧師の汚名/ジェイムズ・グールド・コズンズ」
- 「演説/ロード・ダンセイニ」
- 「隣人/ジョン・ゴールズワージー」
- 「わたしの目の黒いうちは/アンソニー・ギルバート」
- 「月の光/W・ハイデンフェルト」
- 「詐欺師カルメシン/ジェラルド・カーシュ」
- 「パンベ・セラングの限界/ラドヤード・キップリング」
- 「豹男の話/ジャック・ロンドン」
- 「信用第一/フィリップ・マクドナルド」
- 「パール・バトンはいかにして誘拐されたか/キャサリーン・マンスフィールド」
- 「最善の策/フェレンツ・モルナール」
- 「殺すか殺されるか/オグデン・ナッシュ」
- 「スタジアムに死す/ロバート・ネイサン」
- 「良心/エルマー・ライス」
- 「真実の物語/ディラン・トーマス」
- 「Rien Ne Va Plus/アレグザンダー・ウールコット」
★ミニ・ミステリ
- 「婚礼の池/ゾーナ・ゲイル」
- 「壁の中へ/ヴィクター・カニング」
- 「青ペンキの謎/アンナ・カサリン・グリーン」
- 「幽霊屋敷/オリヴァー・ラ・ファージ」
- 「ある老人の死/アーサー・ミラー」
- 「ダヴ・ダルセットの明察/クリストファー・モーリイ」
- 「開かれた窓/“サキ”H・H ・マンロー」
★ミニ・クラシック
- 「絶妙な弁護/作者不詳」
- 「サンチョ・パンサの名探偵ぶり/ミゲル・デ・セルヴァンテス」
- 「子守歌/アントン・チェーホフ」
- 「手袋/チャールズ・ディケンズ」
- 「ナイフの男/アレクサンドル・デュマ」
- 「復讐/ギイ・ド・モーパッサン」
- 「正義の費用/ギイ・ド・モーパッサン」
- 「わたしの懐中時計/マーク・トゥエイン」
- 「犬と馬/ヴォルテール」
★ミニ・シャーロッキアーナ
- 「これ以上短縮できない探偵小説、または、髪の毛一本が運命の分れ目、または、超ミニ殺人ミステリ/スティーヴン・リーコック」
- 「パラドール・チェンバーの怪事件/ジョン・ディクスン・カー」
- 「アダムとイヴ失踪事件/医学博士ローガン・クレンデニング」
- 「探偵の正体/マーガレット・ノリス」
★ミニ探偵
- 「見えないドア/マージェリー・アリンガム」
- 「消えた暖房炉/エリック・アンブラー」
- 「イニシャル入り殺人/ローレンス・GG・ブロックマン」
- 「火星の犯罪/アーサー・C・クラーク」
- 「ペントハウスの殺人/ジョージ・ハーモン・コックス」
- 「川べりの犯罪/エドマンド・クリスピン」
- 「殺人のメニュー/C ・P・ドンネルJr.」
- 「ダウンシャーの恐怖/アンドルー・ガーヴ」
- 「ティー・ショップの暗殺者/ママイケル・ギルバート」
- 「シカゴの夜/ベン・ヘクト」
- 「二十年後/O・ヘンリー」
- 「アプルビイ警部最初の事件/マイケル・イネス」
- 「殺人のにおい/ロックリッジ夫妻」
- 「ビークルの鼻/アーサー・ポージズ」
- 「角砂糖/エラリー・クイーン」
- 「土曜の夜の殺人/パトリック・クェェンティン」
- 「馬をのみこんだ男/クレイグ・ライス」
- 「ロンドン夜話/マージェリー・シャープ」
- 「サンタのパトロール/レックス・スタウト」
- 「神隠し/ジュリアン・シモンズ」
★最後のミニ・ミステリ
- 「決め手/アンソニー・バウチャー」
★最初のミニ・ミステリ
★ミニ・犯罪小説
「百万に一つの偶然/サミュエル・ホプキンス・アダムズ」
・・・<ミニ・犯罪小説>の一本目はサミュエル・ホプキンス・アダムス(知らんけど・・・)。完璧な殺人計画に忍び寄る(?)<百万に一つの偶然>とは? はあ~上手なタイトルつけるなあ~!
「ハリウッド式殺人法/スティーヴ・アレン」
・・・ホテルの浴室で明らかに自殺死体として発見されたハリウッドのプロデューサー、ディヴィッド・スターバック。それを自分の犯行だと名乗りをあけた男の真意とは?・・・このトリック・・・無理ですよね?きっと。
「タイミングの問題/シャーロット・アームストロング」
・・・う~ん?きたきた、よくわからないのが。これ、ミステリ?記述師の懐が浅いのか?
「逆の事態/フィリス・ベントレー」
・・・ラスト近くまでなにが起きているのかさっぱり掴めなかったです。
「生きている腕輪/ロバート・ブロック」
・・・こういうの好きです。なに書いてもネタバレだな。
「保安官、決断を下す/ロアーク・ブラッドフォード」
・・・でた!<ニヤリ・ミステリ>。 唐突ですが最後にニヤリとなってしまうミ
ステリのことを<ニヤリ・ミステリ>と呼ぶことにしました、急に。まあそう言ったら前作の「生きている腕輪」も、それどころかミニ・ミステリのほとんどが<ニヤリ・ミステリ>なんですけど。ま、ほめ言葉ということでひとつご了承くだされ。 『密室殺人傑作選』に収められていた<アンクル・アブナー>シリーズの「ドゥームドーフの謎」も面白かったですが、<保安官もの>って結構いけますぜ、ダンナ。
「ウェディング・ドレス/ルイス・ブロムフィールド」
・・・う~ん、これも「タイミングの問題」「逆の事態」に続いて<眉間にシワ・ミステリ>。読み解けない、あるいは面白いんだけど、記述師的にはもうひとヒネリほしい!(偉そうに・・・。)と思ったミステリのことにします、また急に。
「検死審問/マーク・コネリー」
・・・会話文だけで描かれるミステリ。
「カードの対決/トマス・B・コステイン」
・・・これ面白い!客船の中で行われるポーカーゲーム。果たして<用心深い(ケアフル)ジョーンズ>と呼ばれるプロの賭博師は誰なのか?
「牧師の汚名/ジェイムズ・グールド・コズンズ」
・・・お、<ニヤリ・ミステリ>!なるほどね~。
「演説/ロード・ダンセイニ」
・・・おぉ、これが伝説のロード・ダンセイニか~。こういうものも書くんですね。下院議員で野党のホープであるピーター・ミンチは、ヨーロッパで戦争が始まりかねないような演説をしようとしています。しかしそれをさせまいとする某勢力が脅迫をしてきます。果たしてミンチは演説できるのか? ラストの老記者の述懐が素敵です。この文章が締めてますね。
「隣人/ジョン・ゴールズワージー」
・・・う~ん、<眉間にシワ・ミステリ>。
「わたしの目の黒いうちは/アンソニー・ギルバート」
・・・<ニヤリ・ミステリ>!この看護婦さん最高(笑)。
「月の光/W・ハイデンフェルト」
・・・なるほどなるほど。日本では思いつかないトリック、というかネタですよね。
「詐欺師カルメシン/ジェラルド・カーシュ」
・・・詐欺師カルメシンによるコイン式ガスメーターからのガスのちょろまかしトリックとは?ま、トリックはさておき、カルメシンのキャラが素敵ですね。
「パンベ・セラングの限界/ラドヤード・キップリング」
・・・ノーベル文学賞受賞者なんですね、キップリング。失礼しました。人種差別主義者だったとも言われますが、どうなんでしょう?確かにそんな印象もある短編ですが。簡単に断じることはできません。
「豹男の話/ジャック・ロンドン」
・・・<ニヤリ・ミステリ>!豹男(怪人じゃありません)が語る<ライオン使いがある男の憎しみを買った話>。結局こういう「演説」や「詐欺師カルメシン」のような魅力的(?)な人物の語る昔語りというシステムの物語が好きなんですね、記述師は。改めて納得。オチもグー(古!)。
「信用第一/フィリップ・マクドナルド」
・・・競馬の場外賭け屋から娘との結婚の条件に<自分のおつむを使って一万ポンドくらい稼いでくる>ことを提示された青年のとった方法とは?こ
のトリック、使ってみたい!ラストで釘を刺されてますが。
「パール・バトンはいかにして誘拐されたか/キャサリーン・マンスフィールド」
・・・う~?ストーリーの意味がよくわからず、検索してみたら、ヴァージニア・ウルフと並び称される作家でした。自分の無知を思い知るお馴染みの瞬間(泣泣)。
「最善の策/フェレンツ・モルナール」
・・・<ニヤリ・ミステリ>!全国農民銀行頭取のもとに、ペルピニャン支店の出納係フロリオ氏が公金を着服しているという密告が。しかし何度調べても、そんな事実は出てきません。果たして誰が何の目的で密告したのか?
「殺すか殺されるか/オグデン・ナッシュ」
・・・『読心術入門』って・・・。
「スタジアムに死す/ロバート・ネイサン」
・・・これは、風刺?
「良心/エルマー・ライス」
・・・<ニヤリ・ミステリ>!これは爆笑です。そんなオチとはね?短い話の中に無理やり伏線張ってますし。
「真実の物語/ディラン・トーマス」
・・・<眉間にシワ・ミステリ>。まあ<犯罪小説>って括りだからねぇ。
「Rien Ne Va Plus/アレグザンダー・ウールコット」
・・・タイトルはルーレットのときの「賭はしめきり」という声のことらしいです。<ニヤリ・ミステリ>です。よく調べろって感じですけれど。
★ミニ・ミステリ
超自然(スーパーナチュラル)という副題が気になる・・・。
「婚礼の池/ゾーナ・ゲイル」
・・・やっぱり<ミニ・ミステリ>ってスーパーナチュラルのこと?
「壁の中へ/ヴィクター・カニング」
・・・ロンドンが『陰陽師』の中の平安京みたいだな。まあ<ミステリ>ですからね・・・そうか、<ミステリ>ってこの本の中ではそういう括りか~。いいんですけど、別に。これは結構好きな話です。
「青ペンキの謎/アンナ・カサリン・グリーン」
・・・確かに<青ペンキの謎>、だな。謎を仕掛ける側からみたらな~んも不思議じゃないけれども。
「幽霊屋敷/オリヴァー・ラ・ファージ」
・・・もうミステリというよりホラーや幻想ミステリの域に入ってきました。
「ある老人の死/アーサー・ミラー」
・・・また記述師の好きな昔語り式ミステリです。これは・・・いい話っていえばそうなんですけど・・・重いなあ。
「ダヴ・ダルセットの明察/クリストファー・モーリイ」
・・・おぉ!これはミステリだ!しかもアメリカ伝奇? ドル紙幣を折ってみた都市伝説好きならぜひ(笑)。
「開かれた窓/“サキ”H・H・マンロー」
・・・そりゃあ幻想、怪奇といえば<サキ>で締めでしょう、読んだことないけど。これ、当人はむちゃくちゃビビるなあ(泣)。とても秀逸。
★ミニ・クラシック
げげっ!こんな人たちがミステリ書いてるの?といった北村薫師的チョイス(クイーンですけどね)。クラシックと名付けるだけあって、時系列どおりに物語られるものが多いのであまりミステリっぽくはないんですが、謎の存在を中心に添えた短編たちです。
「絶妙な弁護/作者不詳」
・・・本書唯一の作者不詳。う~ん、これって詭弁だなぁ。そりゃ<検察側は仰天>しますよねぇ・・・。でも<ロンドンの商人ともなれば、貴重な経験を積んだことに対して幾許かの支払いをするのが当然であった>ってとこが粋ですのう。
「サンチョ・パンサの名探偵ぶり/ミゲル・デ・セルヴァンテス」
・・・なぜこの犯人(?)がそんな手の混んだことをしたのかのほうが不思議だ!おもろいけど。
「子守歌/アントン・チェーホフ」
・・・チェーホフって、あの(どの?)チェーホフですよね?これはミステリというより犯罪ものかな。
「手袋/チャールズ・ディケンズ」
・・・おいおいおい・・・誰が犯人なの!?そこスルーしてるよ!大事なとこ!
「ナイフの男/アレクサンドル・デュマ」
・・・デュマってあのデュマ?『三銃士』の?面白いし。ミステリ的だし。ちょっと伏線ないけれど。
「復讐/ギイ・ド・モーパッサン」
・・・モーパッサン二連チャン。オチというか<HOW>の部分はすぐにわかります。というか、隠す気はない。ミステリを書こうとしているわけじゃないと思うから当然ですけどね。
「正義の費用/ギイ・ド・モーパッサン」
・・・これ面白いなぁ。モーパッサンって・・・(検索中)17世紀の人?すごいなあ。
「わたしの懐中時計/マーク・トゥエイン」
・・・今度はマーク・トゥエイン!これは、どの辺がミステリ?繰り返しギャグと言ったほうが(笑)。
「犬と馬/ヴォルテール」
・・・ドイルより100年以上前にホームズばりの推理を行う探偵(じゃないけど)を書いていたとは、恐るべしヴォルテール!このあと<シャーロッキアーナ>というカテゴリを持ってきたのはさすがクイーン!(という理解でよい?)
★ミニ・シャーロッキアーナ
「これ以上短縮できない探偵小説、または、髪の毛一本が運命の分れ目、または、超ミニ殺人ミステリ/スティーヴン・リーコック」
・・・爆笑作?まさに<髪の毛一本が運命の分れ目>・・・身につまされるなあ(泣)。髪はなが~い友達。
「パラドール・チェンバーの怪事件/ジョン・ディクスン・カー」
・・・でた!カー。カーがホームズパロディを書いてるとは知りませんでした。オチはよくわからんが。
「アダムとイヴ失踪事件/医学博士ローガン・クレンデニング」
・・・こ、これはファンタジー?
「探偵の正体/マーガレット・ノリス」
・・・これもファンタジーというか○○というか。なんでもありだな(笑)
★ミニ探偵
いよいよ名探偵たちの登場です。
「見えないドア/マージェリー・アリンガム」
・・・探偵役はアルバート・キャンピオンという素人探偵。密室の謎を解きます。
「これがきみの見えないドアだ、警視」
かっこいい~!
「消えた暖房炉/エリック・アンブラー」
・・・元チェコ、プラハ警察のヤン・チサール博士が探偵役です。
「イニシャル入り殺人/ローレンス・GG・ブロックマン」
・・・探偵役はジム・ワイルダー部長刑事。
「火星の犯罪/アーサー・C・クラーク」
・・・火星での遺跡盗難事件をロウリングズ警部が追います(話してるだけだけど)。盗まれた遺跡が、火星上では発見されるはずのない女性の頭部の精巧な彫刻(たぶん)というのがふるってますね、さすがクラーク。
「ペントハウスの殺人/ジョージ・ハーモン・コックス」
・・・もう皮肉としかいいようがない事件・・・。かわいそうに(泣笑)。
「川べりの犯罪/エドマンド・クリスピン」
・・・コロンボか古畑任三郎かというオチ。「なぜそれを知っているんですか?」的な。それはともかく、短いストーリーの中で視点人物の思いがよく表されている好短編です。
「殺人のメニュー/C・P・ドンネルJr.」
・・・これも素敵な短編です。ま、この刑事もどうかと思いますが(いきなりすぎるだろ)。マダム・シャロンは『マダム・タッソーがお待ちかね』の「番号くらいあるんでしょ?」に次ぐ魅力的なセリフを持つ女性でした。洒落てるなあ。
「ダウンシャーの恐怖/アンドルー・ガーヴ」
・・・危険運転をしている者たちが連続して殺害される事件が発生。なんじゃそりゃ、な解決ですが、ラストの皮肉な統計が締めてます。
「ティー・ショップの暗殺者/ママイケル・ギルバート」
・・・なるほどね~。ちょいアンフェアな気もするが・・・。
「シカゴの夜/ベン・ヘクト」
・・・面白い話がないといいながら面白い話をする部長刑事クチック。シカゴ夜話ってわけですか。
「二十年後/O・ヘンリー」
・・・あのO・ヘンリー?さすがうまいなあ!
「アプルビイ警部最初の事件/マイケル・イネス」
・・・アプルビイ警部の少年時代の逸話です。しかし無茶な少年だな。無理があると思うぞ、その推理。
「殺人のにおい/ロックリッジ夫妻」
・・・本当にそんなに臭う?
「ビークルの鼻/アーサー・ポージズ」
・・・おぉ!彼が出てくるとは。ラストの訳注は言わずもがなですが。
「角砂糖/エラリー・クイーン」
・・・うまい!しかし、そんなダイイングメッセージあるかなあ(笑)。
「土曜の夜の殺人/パトリック・クェェンティン」
・・・へぇ~ナイトショウってそうなの?
「馬をのみこんだ男/クレイグ・ライス」
・・・これは無理、クレイグ・ライス!こんなんで死ぬかなあ。
「ロンドン夜話/マージェリー・シャープ」
・・・結局この中国人紳士は何者なの~?有名な人?
「サンタのパトロール/レックス・スタウト」
・・・お、レックス・スタウトだ。
「神隠し/ジュリアン・シモンズ」
・・・パンチ・アンド・ジューディってなんだ?
★最後のミニ・ミステリ
「決め手/アンソニー・バウチャー」
・・・なるほどね~!北村師が言われるように、クイーンのニヤリ顔が見えるようです。