読了本ストッカー:北村節炸裂!秀逸な本格ミステリブックガイド。……『ミステリ十二か月』

ミステリ十二か月


北村薫 中央公論新社


2007/3/13読了。


図書館で借りました。3/12のエントリ「図書館カード作りました。」でも触れているので、ご覧ください。とても盛りだくさんの本格ミステリ紹介本でした。
第1章は読売新聞で連載された、本格ミステリ初心者向けのブックガイドとなっています。小学生から中学生向けでしょうか。こんな本が小さいときにあったらもっとミステリ読んでただろうなあ~。第2章は連載の挿し絵を担当した版画家・大野隆司氏との対談。第3章は第1章で取り上げた作品と、それにまつわる作品の話。第4章は有栖川有栖氏とのマニア対談です(濃いです!)。本格ミステリのアンソロジーがたくさん紹介されていますね。探してみようかなあ。


記述師が一番「おぉっ!」と思ったのは、第3章の中の「十一月は、ひと癖ある作品群」。ビル・S・バリンジャーの『歯と爪』、ウィリアム・L・デアンドリアの『ホッグ連続殺人』の紹介なのですが、記述師の長年(でもないですけど)の疑問が解消!そうなんだよね~、記述師も『歯と爪』の「驚くべき前代未聞の大トリック」という煽りに期待してよんで、「あれ?」と思ったのでした。そっか、そういう理由なのかな?翻訳者も騙された(見逃した)ということかな。あ~すっきりした。なんにしろ「驚天動地の大トリック!」とか説明文や帯に書くのは禁止してほしいです。期待しちゃうし、本当に「驚天動地の大トリック」だったとしたら、読む前に知りたくないでしょ、そんなこと。まあ言いたい気持ちはわかるけどさ。そういえば、うちの会社で出した本でも、あらすじでネタばれしちゃってるのがあったなあ(泣)。
『ホッグ連続殺人』に関しては、なんとなく違和感はあったんですけど、そのまま素通りしてました。北村師がお怒りになっているように、確かに矛盾してますね。記述師は、好きな割には本格ミステリの論理的じゃない部分に気づかないタイプ(ニブイってことか)でして、お恥ずかしい。 それにしても、北村節を堪能いたしました。ごちそうさまでした(ゴシゴシ)。五つ星です。