読了本ストッカー:妖戦!二代目石川五右衛門VS太閤秀吉!……『五右衛門妖戦記』

五右衛門妖戦記


朝松健  光文社文庫


2007/3/13読了。


日本クトゥルー神話作品の先駆者、朝松健氏の伝奇時代小説です。同じ石川五右衛門釜茹での場面から始まっても、某作品とは面白さの度合いが違います(笑)。果心居士、出雲の阿国、霧隠大蔵などなど実在の人物、虚構の人物などが入り混じってもう大変。


山本弘氏は自著の中で、「登場人物にとって自明のことを、登場人物に語らせるな」と書かれていますが・・・朝松氏は説明的な文章を書きます(笑)。例えば・・・


「李三桐よ。お主がわしとともに歩むようになってから何年経ったかのう」
「間もなく二年に」
「もうそんなになるか。時の経つのは早いもの」
「仁川より出航した連合軍の亀甲船が、済州島付近で嵐に遭い、難破して、生き残ったのはわたくし一人。下関に流れついたところをお八重殿に救われました。以後、石川党の一人として二年間、お頭にお仕えしてまいりました」


 うわっ、説明くさい!し、しかし、そんなこたぁどうでもいいっ!(荒俣宏氏もそうですが)面白い伝奇小説の前には、文章なんて霞んでしまうのだ!(無理矢理)でもほんと面白いんですよ、ほんと。