読了本ストッカー:『「ごんぎつね」をめぐる謎 子ども・文学・教科書』府川源一郎/教育出版



2021/9/27読了。

内容(「BOOK」データベースより)

「ごんぎつね」は、新美南吉が18歳の時に書いた作品である。舞台は近代化する以前の日本の田舎。「ごん」という小狐が、自分のいたずらの罪をつぐなおうとして、村人の兵十に接近し、最後に、その兵十に撃たれて死ぬ。現在この作品は申しあわせたように、小学校国語教科書の四年生の教材として取り上げられている。そうなったのは、それぞれの教科書編集者の自主的な判断に基づいたからであり、またそれを背後から支えている全国の教師たちの声があったからである。「ごんぎつね」は、学校の中の多くの子どもたちにも好んで受け入れられている。本書の意図するところは、その『「ごんぎつね」現象』の解明である。メディアとしての「国語」教科書の役割や、それを背後から支持してきた読み手たちの認識と感性の問題を「ごんぎつね」という作品を通して考えている。作品や教材に関わるいくつかの問題を、各章ごとに「謎」の形で読者に提出し、それを解き明かすという構成を取りながら論を進めた。