2018/12/28読了。
【用心棒日月抄】シリーズの第四作。
これまでは連作短編っぽさが大きかったシリーズですが、本作は長編でしょう。
前作から十六年の月日が流れ、青江又八郎もおじさんに!
藩の隠密「嗅足組」の解散を巡って、三つ巴、四つ巴の争いが繰り広げられます。
本作は完璧にミステリです!
嗅足組の鏖しを謀る黒幕はいったい誰なのか、藩主の側室の出自を又八郎と佐知が探るのですが、ジリジリと真相に迫ってはなかなかたどり着けません。
「そうするといま現在はむろん、船橋どのと黒幕と思われるその人物が屋敷で激論をかわしたときも、もう表役には嗅足を使っておらなかったわけだ」「誤解のないように申しますと、たまたま組合わせで組の者が表にでることもございましたが、以前のように目で見、耳を欹てて表の動きをさぐる勤めは免ぜられていたということです」「しかし逆を申せばその人物は、その以前には表役に嗅足を入れる組のしきたりがあったことを知っていたことになりますね」 二人はしばらく無言で顔を見合わせた。
ほら!ミステリでしょう!