「電気式五芒星と古文献を駆使し、オカルトと科学を混合させた技術で怪奇現象に立ち向かう、名うての“幽霊狩人”トマス・カーナッキ」
この解説をみたらほとんどの人が、バッタバッタと悪霊たちをなぎ倒す、孤高の狩人を想像すると思います。
しかし!本書の主人公カーナッキ氏は、幽霊屋敷に突っ込んでいっては、怪奇現象に遭遇すると冷や汗をかき、叫び声をあげ、我慢できなくなって自室に逃げ帰り、数時間(場合によっては朝まで)休んでしまうという……なんといったらいいのか……イギリスギャグなの?
さすがユーモアの国。
基本的に、カーナッキが悪霊退治から帰還し、チェルシー州チェーンウォークの屋敷から、友人四人に電報を打つ
→みんなで夕飯を食べる(カーナッキ氏無言)
→みんなで暖炉前でくつろぐ
→カーナッキ氏事件を語る
→話し終えたら満足して四人をテムズ川河畔に追い出す
→みんなテクテク帰る。
というもの(笑)。
すべてが怪奇現象というわけではなく、ところどころ人間の仕業を入れ込んでくるところが意外でした。
一番面白かったのは、ビブリオミステリともいえる(多分)「稀書の真贋」でした!
◆「礼拝堂の怪」◆「妖魔の通路」◆「月桂樹の館」◆「口笛の部屋」◆「角屋敷の謎」◆「霊馬の呪い」◆「魔海の恐怖」◆「稀書の真贋」◆「異次元の豚」◆「探偵の回想」