読了本ストッカー:『ウィンブルドン』ラッセル・ブラッドン/新潮文庫

ウィンブルドン (新潮文庫)
ラッセル・ブラッドン
新潮社
1982-05

2017/6/8読了。

傑作ミステリと名高い(と聞いてました)本書。
ずいぶん前にブックオフで見かけたけれど買わなかったら、それ以降全然出会えず(古本あるある)。
でもそうなると、新潮文庫で買いたくなりますよね! え?ならない?

プロのテニスプレイヤー(世界第2位)であるゲイリー・キングは、ソ連のプレイヤーヴィサリオン・ツァラプキンと対戦します。
その才能と天衣無縫な試合運びに魅せられるキング。
ひょんな事から亡命することになったツァラプキンは、キングの家(父・母・弟あり)に逃げ込みます。
そこになだれ込むソ連の刺客達!
キング家御一統は、ツァラプキンを守るために戦い(ラケットで相手の手を砕いたりして)守りきるのですが……なんか格調高いといいますか、ノブレスなユーモアいいますか、そんなものが溢れる文章。

ツァラプキンはゲイリーの血だらけの顔を見ると、その場にへたり込んで気を失った。それを見て、今度はキング氏がふらふらしはじめた。キング夫人は呆れ返って吐き捨てるように言った。
「だらしがないんだから、男なんて」彼女はグレッグ(弟)に医者を呼ぶように言おうとしてあたりを見回した。グレッグの姿はどこにもなかった。
「グレッグ!」彼女は悲鳴に近い声で叫んだ。てっきり息子が殺されたと思った。
グレッグが玄関口から顔を出し、「今電話してるんだ」と言って引っ込んだ。
(中略)巡査部長は半信半疑で確認した。
「ほかに何か?」
グレッグは玄関の外を覗いた。
「ええ、医者をお願いします。いいほうの三人が今気を失いました」
「君は大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です」グレッグは言った。「僕はまだ子供だから、乱闘には入れてもらえなかったので」

ま、それはさておき、ミステリというよりサスペンスでした。
ウィンブルドンでの試合で「相手を勝たせないと娘を殺す」などと脅迫を受け八百長をしなきゃいけなくなる話、だと思ってたんですが、違いましたねー!

娘がテニスを始めたのでルールもわかる!と思って読んだのですが、娘はソフトテニスで硬式とは全然ルールが違ってさっぱりわかりませんでした。