読了本ストッカー:『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』門井慶喜/幻戯書房


ミステリー作家門井慶喜氏のミステリー講義集です。
どうしてそんな無惨なことになるのか、私などにはよくわからないけれど、あるいはみなさん煩瑣なシンボル論議にあまりにも精魂をかたむけすぎて、かえって木を見て森を見ずの弊におちいっているのではないか。だいたいご本尊であるウンベルト・エーコがもう、たとえば『薔薇の名前』の八年後に書いた『フーコーの振り子』あたりでは彼自身まんまと罠にはまってしまった感じがする。あれは細部以外に何もない小説だった。ばらばらに砕かれたビスケットは、ビスケットの味がしないのである。

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