読了本ストッカー:柳広司のD機関じゃないよ……『D機関情報』西村京太郎/講談社文庫




2016/6/17読了。

太平洋戦争末期、日本帝国海軍中佐の関谷直人は、スイスから水銀を購入する秘密任務につき、購入代金の金塊をもってドイツに渡ります。
渡航直後、早速金塊を盗まれた(笑)関谷は、取り戻すべくスイスに向かうのですが……。

「D機関」っていったら、陸軍内に存在するスパイ機関……じゃないんだなあ、これが(笑)。

ぶっちゃけますと、最終的にアメリカとの和平交渉に尽力することになる関谷なのですが、北上次郎氏の解説によると、実際にモデルとなった和平交渉があったようですね!
そうなんだ……。
ラストの余韻が心に迫ります。

今では二時間ドラマの原作としてのみ(?)名高い西村京太郎氏ですが、北上氏の解説にもあるように、本来は本格ミステリの書き手。
ミステリー列車が消えた』『殺しの双曲線』『名探偵が多すぎる』と本格ミステリ臭のかぐわしいものを読んできたわけですが、本書はスパイ小説寄りでした。
『華麗なる誘拐』『七人の証人』『消えたタンカー』など、北上氏曰わく「大仕掛けのミステリー」は大体チェック済みだと思っていたのですが、

用意された朝食を残したまま九人の男女が大型クルーザーから姿を消す『消えた乗組員』、終戦時に沈没したはずの伊五〇九潜水艦から救難信号が届く『発信者は死者』

も面白そうだなあ!