読了本ストッカー:「あろうことか負けてしまいました」……『われ敗れたり コンピュータ棋戦のすべてを語る』米長邦雄/中央公論新社


2015/12/9読了。

永世棋聖にして日本将棋連盟会長米長邦雄氏による、第1回電王戦の記録です。
以前読んだ『閃け!棋士に挑むコンピュータ』が、2010年の「あから2010」対清水市代女流王将の一戦までだったので、その次の書に当たります。
また『閃け!~』がコンピュータ視点寄りだったのに対し、本書は基本的に米長邦雄氏の視点からかかれていて、とても興味深く読みました。いろいろな将棋盤外のかけひきはともかく、なんといっても読み所は、米長永世棋聖がコンピュータ将棋のためだけの勉強にのめり込んでいく様子でしょう。

イメージとして、相手が誰であれ自分の将棋を指すと言ってしまいそうな年輩者の米長永世棋聖が、コンピュータに勝つには、人間の棋士とは違うコンピュータに対する戦い方をしなければいけないとする姿に、その柔軟性に驚きを禁じ得ません。戦いのあとの記者会見の様子も、むちゃくちゃ毒のある受け答えが最高でした。