読了本ストッカー:『本の虫ではないのだけれど』清水眞砂子/かもがわ出版


2015/4/12読了。

とても心に残った言葉を、長いけれど引用します。

このエリ・ヴィーゼルの『夜』を読んだ時、私は同じことを自分もすると思いました。私がその場にいたら、きっと同じことをするだろうと思いました。私も親の手を離しただろうし、愛する人、大事な人の手を離して、あの時はやむを得なかったのだと言い訳をするだろうと思いました。思いながら一方で、言い訳を仕方がないこととは思えませんでした。言い訳をしない人間になりたいと思いました。では、どうしたら言い訳しないで生きられるか、そういうことがおこらないようになるか、以来ずっとそのことを考えてきました。でも、極限状態に追い込まれたら私はする、お腹がすいたら他人のものを盗るだろうと思いました。ユダヤ人が貨車で移動させられた時、バンを持っていた人が殺されました、バンを持っていたからこそ殺された人がいます。その話を読んだ時、私は一瞬どういうこと?と思いましたが、そのパンをめがけて大勢の人たちが押し寄せ、持っていた人を押しつぶしてしまったのです。そういうことを人間はやってしまうわけで、私だって例外ではない。これを克服することは、少なくとも私にはできないと思いました。
では、できない人間にとってこの問題はどうしたら解決できるか。それが以来、ずっと私の中の課題です。