読了本ストッカー『もののけづくし』



2006/4/6読了。

『虫づくし』は劇作家である別役氏の本領発揮の抱 腹絶倒エッセイでしたが、本書もとぼけた味わいが素敵です。

「妖怪変化の類を近代科学の光のもとに さらけだす」のではなく「近代科学の類を妖怪の闇に包み込む」のだ、というわかったようなわからないような主旨の本書。

例えば「座敷わらし」の項では、座敷わらしの「追いぬき」が問題になっているのだと言います。引越しが頻繁な現代では、座敷わらしが住処を得る前に人間のほうが出ていってしま い座敷わらしが「おいてけぼり」になってしまうので、ナイーブな座敷わらしはひねくれ始めているというのです。

最近の妖怪論とはまた違って面白く読めます。最後に最近の日本人に、著者のこの言葉を 贈ります。
「人はそこここに小さく固まり、間違っていようといまいと、信ずるところに従って生きる のがいいのである。それがたとい間違っていたとしても、間違っているのはそいつらだけなのであるか ら、たいしたことはない。世界が一枚岩となり、それが間違っていたら、とりかえしがつかないではな いか」。