読了本ストッカー『錬金術師の魔砲㊤』

錬金術師の魔砲〈上〉 (ハヤカワ文庫FT)錬金術師の魔砲〈上〉 (ハヤカワ文庫FT) [文庫]
著者:J.グレゴリイ キイズ
出版:早川書房
(2002-11)

2010/7/2読了。

世界史選択ではないので、どこからが偽史なのか不明ですが、歴史改変ものです。
1681年、かのアイザック・ニュートンは<真の水銀(=賢者の石?)>を発見。世界は大錬金術時代に突入します。
ちなみに1681年は、たぶんシオン修道会の設立と言われている年では? その辺狙っているのかなあ。

続いて1715年。イギリスとの戦争に疲弊するフランスでは、<太陽王>ルイ14世が死の床に。しかしなんと<ペルシャの秘薬>とやらの力で復活を果たします!(史実では1715年に死去)
なんだか大塚英志氏の<終わらない昭和>みたいになってきましたねぇ。

イギリスとの戦争(スペイン継承戦争かなあ?)は、錬金術戦争で、敵の血液を沸騰させる<沸騰装置(ファーヴファクタム)>だとか、目標を追尾する魔術をかけられた砲弾だとか(魔術的ホーミングミサイルか!)、大変な事態になっております。
劣勢のルイ14世は、起死回生の策として、ある科学者が提案した最強の兵器<ニュートンの大砲>の研究開発を進めます。

ところは変わってアメリカ・ボストン。印刷所で働くベンジャミン・フランクリンは、<エーテル式文字転送機(錬金術を使ったファックスみたいなもの)>の改良作業の中で、偶然<ニュートンの大砲>の開発者たちのやり取りを傍受してしまいます。
太陽王守護天使だとか、悪魔めいた輩とか人外の者たちもでてきたり、女性ばかりの秘密結社<コーライ>だとか、盛り上がってきました(笑)。
柳生武芸帳』を読んだ後だと、若干偽史的作り込みが浅い気がしないでもないですが……それは記述師自身が世界史に詳しくないからでしょうか……反省。