読了本ストッカー:魔術師連城の筆さばきを見よ!……『恋文』
2006/10/22読了。
『変調二人羽織』の解説に「連城氏の集大成的作品」と紹介されていたので、買ってみました。
「恋文」・・・表題作。ある日突然夫が死に瀕した昔の恋人に尽くすために出ていった。2時間ドラマにでもなりそうな設定ですが、さすが連城三紀彦!見事な筆さばきです。何が“恋文”だったのか?がポイント。
「紅き唇」・・・戦時中から戦後にかけて、何かを成し遂げたわけではない普通の女性の人生の断片を描いた短編。
「十三年目の子守歌」・・・先入観なしでお読みください。旅館を切り盛りする母のもとへやってきた自分より若い男にイライラする息子の物語です。
「ピエロ」・・・妻の言うことをすべて「僕ならいいよ」と受け入れてくれる“髪結いの亭主”な夫。しかし・・・というこれまた連城氏の独壇場シチュエーションです。
「わたしの叔父さん」・・・ラストにそれでいいの?とのけぞります。
素敵な短編集ですが、記述師としては、ミステリ寄りの作品のほうが好みだなあ。