読了本ストッカー:こんな怖い版元に勤めてなくて本当によかった・・・出版社員必読の書!(嘘)……『魔障』

魔障


朝松健  ハルキホラー文庫


2007/7/26読了。


もったいなくて取っておいた朝松健氏の著作。ようやく読んでみました。



「魔障」
・・・著者を思わせるオカルト本の編集者・平井は、ある日自称魔術師 の訪問を受け、一冊の私家本を渡されます。その名も“空の書”。その本を出版しようと動き始める平井ですが・・・あとはもう(泣)。いやぁ、こんな版元勤務じゃなくてよかった~。石黒達昌氏の「蜂」(『人喰い病』所収)でも怖いと書きましたが・・・さらに怖い。ラストに一瞬出てくる細木数子みたいな(記述師の思い込みですが)人とか・・・いい味だしてるしなあ。『黒衣伝説』やっぱり探さねばなるまい。


「忌の一族」
・・・“海は溶けた鉛の色をして逆巻いていた。”、“眼の底まで白く塗りこめてしまいそうな雪雲の下で、”、 “函館で列車に乗りこんだ時にはチラチラと古い映画のフィルムのように瞬いていた雪は”・・・どういうことだ!のっけから・・・初出は1987年で「魔障」より古いはずなのに・・・全面改稿とはいえ、書き下ろしより文章がこなれてるし!朝松氏特有の説明口調台詞も激減(笑)。どうやら一人称ってのが良い方向に働いているみたいですね。
他人がハリボテのように見えてくる発作をもつ永井行夫は、ある日自分が北海道の富豪の相続人であり、一族の男は皆その症状を持っていたことを知らされます。そしてその家に赴くのですが・・・ザッツ王道設定!もうホラード真ん中の設定ですね~。ある人物が「これだけヒントを与えたのにまだ気づかないとは!」みたいな発言をするのですが・・・いや、気づかないよ、普通。


「追ってくる」
・・・なにが“追ってくる”のかというと・・・読んでのお楽しみです。これ、深夜ドラマとかになりそうです。


先日、某取次に新刊見本を持ってくときに朝松氏の勤めていた国書刊行会を発見。へ~こんなとこにあったんだ~としばらく眺めてました。ま、それだけなんですけどね。