読了本ストッカー:あの連城三紀彦氏の傑作本格ミステリー短編集!……『変調二人羽織』

変調二人羽織―連城三紀彦傑作推理コレクション


2006/10/19読了。


探し続けていてようやく見つけた本書。連城三紀彦氏の傑作本格ミステリということで期待大で読み始めました。


「変調二人羽織」・・・表題作。トリッキーな本格ミステリです。“探偵小説的”な仕掛けもあったりして連城氏ワザありの一編です。
「ある東京の扉」・・・“SM”というミステリ雑誌(緊縛ではなくてショートミステリです)の編集長・咲島のもとにミステリの原案を持ち込んできた男の話。「偶然にも雑誌名と同じ頭文字を持つ大作家が載せた“エロの頂点”という社会派ポルノが大反響を呼んだ…」など随所に微笑ポイントが設置されており、連城氏のミステリ愛ぶりが伺えます。
「六花の印」・・・明治末期に新橋に主人の妻を迎えにきた人力車の車夫と、現代の空港に雇い主の夫を迎えにきた運転手の物語が交錯する。最後の伏線の回収が見事です。
メビウスの輪」・・・夫が妻を殺そうとしているのか、それとも妻が夫を殺そうとしているのか、部屋の中だけで展開される俳優の夫婦の間の真実を描く短編。
「依子の日記」・・・日記という設定がすでにミステリ感ありありですが、相変わらずだまされてしまいました。 満足のいく短編集でした。