読了本ストッカー:主人公が工兵って…渋すぎっ!……『ナポレオン暗殺』

1809―ナポレオン暗殺


2006/6/1読了。


傑作『バルタザールの遍歴』で度肝を抜かれた佐藤亜紀氏。『モンティニーの狼男爵』に続いて3冊目です。もったいなくて未読のままとっておいたのですが、いよいよ読んでしまいました。


フランスのオーストリア侵攻時、フランスのアントワーヌ・パスキ工兵(!)大尉はウィーンでオーストリア貴族・スタニスラウス・ウストリツキ・フォン・グラッツェンシュタイン=ヴィルカ公爵(ながっ)に出会います。公爵の弟・ヴェンツェスラウス大佐、大佐の妻にして公爵の愛人でもあるクリスティアーネ、フランス・オーストリア両国の秘密警察などが二重三重に絡み合って、もう誰が敵か味方かわからなくなるなかで、大尉は壮大な陰謀に関わっていくことに。それにしても公爵が醸し出す退廃的な空気はさすが佐藤氏!文句なしの5つ星です!


暗殺を主題とした小説群のひとつとして本書を読み解く福田和也氏の解説もとても興味深いです。さて、次は『天使』が残っていますが・・・ますますもったいなくて読めないっ!