読了本ストッカー:『ソーラーセイル 宇宙帆船とルナカップレース』三浦公亮/長友信人/丸善株式会社


2014/9/2読了。

記述師としては、未来の宇宙輸送システムは、「軌道エレベータ」と「ソーラーセイル」だと思っているので、探してました本書。

金子隆一氏の『新世紀未来科学』にて
知りました。平成5年の著作なので、たぶん古いのでしょうが、「光帆推進」の基本を丁寧に解説しています。しているのでしょうが……くぅ! 生粋文系の記述師にはわかんないとこも多数!
あ~ハードSF作家にはなれんな……。

衛星軌道から月へ投入するレース「ルナカップ」へ向けての試行錯誤なわけですが。ソーラーセイルに太陽光を受けて、発電して動力とするわけではなくて、太陽光の光圧を帆に受けて直接動くわけですので、ヨットのように風上(光上?)に向かうのが難しい。螺旋軌道を描くので、太陽光が速度を減ずる方向に働く場合は、帆を畳むとか……。

地上から打ち上げる場合は、ソーラーセイルを畳まなくてはいけないので、円形にしたり、三菱型などを検討。ハードなメカニズムだとソーラーセイル自体が耐えきれないし。「ミウラ折り」が出てきたのが感動!
地図くらいにしか使われてないと思ってたけど、本来は宇宙開発用のものなんだなあ。

地球の引力圏を脱し、太陽系内を移動する場合は、太陽の引力を利用しながら(楕円軌道をえがきながら)セイルの角度を調整して航行します。地球よりも外の軌道(火星とか)に遷移する場合には、太陽に対して45度くらいにすると、加速し、内側の軌道に遷移する場合には、太陽に対して135度くらいにすると減速します。

興味大なのは、やはり恒星間航行ですよね。「ライトネス数(太陽の重力と太陽光による加速度の比)」が1になれば、重力から解放されるが、そのためには現在より40分の1の軽量化を実現しなくてはならない。その「スーパーソーラーセイル」が実現すれば、

ライトネス数が一以上のソーラーセイルは「スーバーソーラーセイル」とよばれる。前記のように、このセイルがフルセイルで正面から太陽光を受けた場合は太陽光圧力が引力よりも大きいので、太陽から離れることができる。反対に、セイルを畳んだり巻き取ったりしてセイルの面積を減らすと、太陽光の圧力が減りライトネス数が減少して、太陽に近づくことになる。ヨットではこの操作を「リーフィング(縮帆)」というが、スーバーソーラーセイルは縮帆することで太陽に近づいたり離れりできるのである。
それだけではない。縮帆しないフルセイルのスーバーソーラーセイルが斜めに太陽光を受ける場合、太陽光圧力を太陽の方向と直角の成分に分けることができるが、ある角度までは光の圧力が引力よりも大きく、ソーラーセイルは太陽系の中で「静止」することができる。そればかりでなく、セイルの角度を変えることによって、軌道運動とは関係なくどの方向にも自由に動き回ることができるのである。


うぉぁ!高まる~!
スーパーソーラーセイルは常に太陽の重力を上回る推進力をもっているので、太陽からの距離に反比例する斥力が働くらしいです。
でた! 斥力!そんなSFあったなあ~。

クラークの『太陽からの風』読まなきゃ!(読んでなかったんかい!)