読了本ストッカー『歴史をかえた誤訳』


2013/10/7読了。

言語は文化であり、文化は言語であるといえる。したがって、文化に対する認識が欠けたまま言葉のみを訳そうとすると、誤訳が起きる。正確に訳そうとするならば、言語レベルを越えた文化の理解が不可欠である。
(中略)外国で長期間を過ごした帰国子女が必ずしも翻訳や通訳に適しているわけではないし、優秀な通訳者または翻訳者には、かえって外国滞在の経験がない、純国産が多いからである。これはおそらく、通訳にせよ翻訳にせよ、最終的には母語の能力が決定的な要素を持つ、ということと関係があるのだと思う。つまり、見逃されがちなことだが、訳すという作業には母語が絶対に必要なのである。母語あっての外国語ともいえる。だから、帰国子女なら大丈夫だろう、と簡単に考えて通訳を頼んだら失敗した、ということが起こりえる。