読了本ストッカー『八犬傳㊤』


2011/12/6読了。

「ある史実があって、その根を変えずに葉を変える。根を変えないからこそ稗史―伝奇小説となる。ま、これが書くほうも読むほうも一つの遊びになるのだね。この世の遊びにはすべて約束事がある。約束事を守ってこそ遊戯になるのだ。史実に従ってうそをつく。私は戯作者としてこの約束事を守っているつもりだ」

文字通り仰天して、狂気のようにさわぐ女中たちの中に、義実は半喪神して立ち、うわごとのようにうめいた。
「ああ、わしはまたいらざる言葉のとがをおかした!」

テーマは「言葉」でしょうか?
すべての呪いの発端は、里見義実がたまずさを救うと言った「言葉」を翻したことによるもの。
伏姫を八房に嫁がせなければならなくなったのもまた、義実の八房に対する「言葉」。