読了本ストッカー『イノセンス創作ノート#人形・建築・身体の旅+対談』



2011/4/10読了。
われわれに必要なのは「実在するそれに等しい(あるいは必要充分な)情報量を持ちつつ、しかも映画の内部以外に何の根拠ももたぬ非在の登場人物」である。

なんだか『テズカ・イズ・デッド』に通じる感じ。
アニメにおけるキャラクターの事情をみれば、事は歴然としている。
まさに「形こそ実在」なのであり、アニメにおけるキャラクターとはキャラクターのデザインそのもののことを端的に指しているのである。
(中略)
翻って実写映画はというと、ここに役柄以前の内面と主体性を持った演技者という存在が介在することで、一見事情は異なって見える。
俳優と呼ばれる人間たち、わけても映画俳優と呼ばれる演技者たちの多くは、キャラクターとしての内面性はそれを演じる実在としての俳優の内面を経由してのみ実現し得るという―歴史的にも、実体としても何ら根拠のない―幻想に支配されており、困ったことに演出家自身の中にもその種の妄想を信奉する人物が多く、事態をより錯綜としたものにしている。

生身の人間を信じてないわけですねぇ……結局。