読了本ストッカー:本棚探偵、再び!……『本棚探偵の回想』

本棚探偵の回想 (双葉文庫 き 15-2)


喜国雅彦


双葉文庫


2007/11/4読了。


 


というわけで、『本棚探偵の回想』です。
本作でも喜国氏の行動力は健在。神保町のすべての古本屋で探偵小説かそれに類するものを買う(今回は本当に買います)ことにチャレンジする「すべては俺の店」、出版不況を打開するために、5万円分の新刊書籍を、西武沿線の書店をめぐって買う「日本を救え!」、探偵小説のカバーをカラーコピーしてトレカを作製する「誰かトレカを」、<探して買う楽しみ>を味わうためだけに、社会思想社の<ミステリ・ボックス>を買い集める「教養を高めたい」などなど。
古書マニアなんだけど、マニアらしくない(そうは言っても、相当マニアっぽいですけど)行動力がとても魅力的。第3弾はでないのかなぁ。ま、文庫化されるのは相当先だと思いますが。


最大の読みどころは、「『某殺人事件』事件」。これは爆笑必至です!
喜国氏が手に入れた3冊の自費出版ミステリ。文章内の指示語がどこを指しているのかわからない、聞いたことのない登場人物が突然出てくる、三人称の視点は一行ごとに入れ替わる・・・



本を閉じる。なんだかすごく疲れた気がする。本を読んでこんなに疲れたことはあっただろうか?『黒死館殺人事件』はちょっと疲れた。だがあれは何百ページの大作だ。これはまだたったの二四ページ。そこまで読むのに一時間近くを費やしている。


たった六十数ページの本を読むのに一時間強の電車で終わらず、家に帰ってさらに二時間を費やした。頭も身体もドロの海で泳いだかのようにどっぷりと疲労していた。だが、二冊目に伸びた手を止めることが出来なかった。朝までかかって読んだ。これに比べりゃ『虚無への供物』なんぞ児童書だ。麻薬のように三冊目を摑む。途中で二回ほど気を失いながら読み終えた。『匣の中の失楽』なんか絵本に思える。


腹がよじれるほど笑いました。読んでみたい~!