読了本ストッカー:オヤジ青春小説の傑作!……『夏のロケット』

夏のロケット


2006/9/20読了。


ブックオフの100円コーナーであまりにもよく見かけるので、いつでも買えるかと思って買い控えしていたのですが、川端氏の他作品にも面白そうなものが多いので、まずは処女作をと思い読んでみました。
小川一水氏の『第六大陸』のような宇宙開発現場物語。しかし大きな機関や会社は出てこず、あくまで高校の天文部ロケット班の延長(!)によるロケット打ち上げです。 『Moon Light Mile』や『プラネテス』など宇宙を扱った漫画にもロケッティアたちはでてきますが、実際こういう人たちがどんどん出てこないと、宇宙開発(特に日本の)は立ち枯れになってしまうでしょうね。
併せて『日本の衛星はなぜ落ちるのか』も読むと、現在の宇宙開発の現状がよくわかります。


天文部の仲間たちは、商社の宇宙事業本部に勤める北見、宇宙開発事業団の研究者になった日高、大手特殊金属メーカーの研究者の清水、ミュージシャンにしてモデルロケット普及協会を主催する氷川とみな宇宙への夢を追う職業についている中で、語り手である高野は新聞社社会部に就職。現在は科学部に所属するとはいえ、なんだか取り残されたような気持ちを感じます。
しかし物語が進むにつれ、みな多かれ少なかれ高校時代から高野の火星への情熱に影響を受けていることがわかっていきます。そしてラストで自分の役割に気づく高野・・・ホロリとします(涙もろくなったなあ)。


なお、なんとなくファンタジーにカテゴリ設定してみました(笑)。