読了本ストッカー:加藤文太郎、山に生きる。……『孤高の人㊦』

孤高の人 (下巻)


2006/9/7読了。


相変わらず「山」と「社会」との間で抗う文太郎。
才能に溺れる人間ではなく、非常に合理主義者。立ったまま食べられるように携帯食を自分で改良したり、他人のラッセル跡も利用するし、山小屋も利用します。山小屋を使うのなんて当然じゃないかと思っていたんですが、社会人登山家が少ないこの時代、登山は金持ちのするものだったんですね。山小屋の使用料もあとからきちんと払っているにもかかわらず、記録を懐疑的な目でみられたり、とにかく登山界からの風当たりは強くなる一方です。なので、富士山頂観測所で初めて職員たちに受け入れてもらえた場面では泣きそうになりました。
結婚してからの文太郎の変わりようが凄まじく、面白いです(笑)。最後まで読んで初めて、文太郎は実在の人物だと知りました。
新田次郎氏の作品は『八甲田山死の彷徨』に続いて2作目でしたが、『銀嶺の人』など他の作品もどんどん読んでいきたいです。