読了本ストッカー:『シューマンの指』奥泉光/講談社文庫


2015/2/23読了。

指を失って演奏家としての命を絶たれたと思われていたピアニストが、海外で活動を開始していた、それも失ったはずの指を生やして……。

こうなってくると、音楽SFの傑作、山之口洋氏の『オルガニスト』が想起されますので、アトランティスとか頻出の奥泉光氏ということもあって、俄然期待が高まります!

ラストまで読みますと、ミステリ寄りの作品で、筆致としても奥泉氏の初期作、『ノヴァーリスの引用』や『バナールな現象』などを思わせるものでした。ほんと、クワコーシリーズと同じ著者とは思えない振り幅……。
それにしても、奥泉氏の音楽に対する造詣の深さには感服です。エッセイ集の『虚構まみれ』なんかにも表れてましたが。
『鳥類学者のファンタジア』読まねば!