読了本ストッカー:実は超伝奇!……『モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』奥泉光/文春文庫


2015/1/29読了。

サブタイトルから想像されるスタイリッシュなシティ派(?)ミステリとかではなく(勝手に思いこんでただけ)、ガチガチの伝奇小説でした!

『グランド・ミステリー』もそうだったけど、『「吾輩は猫である」殺人事件』とか、このあたりが奥泉氏の万人受けするラインだと思います。
それにしても、サブタイトルに反して、桑潟幸一氏はどんどん物語のメインラインからハズレていく感がありますけど。

関西の名もなき(あるけど忘れた)女子短大の助教授、桑潟幸一氏は、忘れられるべくして忘れ去られた作家、溝口俊平の解説を『日本近代文学者総覧』に書いたことで、変な事件に巻き込まれていきます。
溝口俊平の遺稿を雑誌に掲載したいので、桑潟に発見者になってもらいたいと頼む編集者が来訪。それを受けたところあれよあれよ(でもないんですけど、うじうじうじうじしてて……)という間に単行本化され、大ベストセラーとなり、しかしその編集者らしき死体が発見され……背後に見え隠れするのはアトランティスのコイン?

ほ~ら、伝奇めいてきました!
ジャズシンガーにしてライターの北川アキと、元夫の諸橋倫敦が探偵役を務めます。途中に北川アキの友人としてでてきるフォギーは、おそらく『鳥類学者のファンタジア』の主人公ですよね、読んでないけど!

しかし、このラストだと、続編の『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』はどうなってるんでしょうね?
不思議だ!