読了本ストッカー:もはやノンフィクションホラー!……『偽史「東日流外三郡誌」事件』


2014/5/19読了。

著者の斉藤光政氏は、東北の東奥日報社の記者です。
決して専門ではない古史古伝の魑魅魍魎の世界に入り込んだ、ノンフィクションホラー(?)です。
青森県在住の和田喜八郎が自宅から「発見」したとされる、古史古伝中の古史古伝(となった)『東日流外三郡誌』。
客観的に(後世から)見て、どう考えても偽書だと思うのですが、実際その同時代の中で見たら、わからないもんなんですかねぇ。

私の知り合いにも、宗教に染まってしまった人がいますが、彼は東大卒のばりばりの唯物論者でした。
我々はちょっとくらいわからないことがあっても、「まあそんなもんかなぁ」と思いますが、おそらく「彼ら」はそうは考えられない。絶対理由があるはず、と思ってしまうのでしょう。実際はそんな万物理論はないわけですが、「古史古伝」みたいなものだったら、すべて説明してくれる。当然です、理屈に合うように操作されている情報なのですから。しかし、「彼ら」は「おぉ、これですべて説明がつく!」と思ってしまう。
「彼ら」は「論理的」であろうとするからこそ、はまってしまうわけです。
だから、偽史疑似科学に類するものが「科学風」な装いを持つことは当然です。
それは再現性がないため、本当の「科学」ではないのですが。
そんなことを考えました。