読了本ストッカー:やっぱりSFっていいなあ~……『年刊日本SF傑作選#虚構機関』



2013/4/12読了。

2007年の日本SF最前線をまとめた傑作選。シリーズの第一弾でもあります。

◆「グラスハートが割れないように/小川一水
……読んだことある……な? どこで読んだんでしょう? 収録の短編集『青い星まで飛んでいけ』は未読のはずだし。
例の「水からの伝言」ブームを想起させる短編です。

◆「七パーセントのテンムー/山本弘
……先日『シュレディンガーのチョコパフェ』で読んだとこでした。

◆「羊山羊/田中哲弥
……こ、これSFか? 人格が変わる奇病「羊山羊(ひつじやぎ)」に冒された部下の妻に押しかけてこられた上司の話。救いのない話だなぁ。

◆「靄の中/北國浩二
……初北國浩二作品です。脳に寄生する宇宙からの侵入者を狩るリーと坂口。見た目では判断できないため、口頭試問によって罠をしかける(即射殺!)のですが……。

◆「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語円城塔
……初円城塔です。編者の大森氏が解説で「本編の中身はよくわからないので解説できないが」と書いているのが衝撃的! ほんとにわからない!
タイトルどおり八つの物語で構成されてますが、なんとかストーリーらしきものが追えるのは、砂漠に埋もれてしまった都で、かつて行われていた赫い宝玉を使った手動式論理演算(コンピュータの裏側で手動、算盤だったっけ? で計算してるネタ、前にあったなぁ)を描いた「砂鯨」、目撃すれば涙を流し、理解すれば笑い死! 恐怖の涙多様体の発見を描いた「涙方程式始末」、ガンマ線の一粒一粒をヒョイヒョイ避ける性質をもった虫(?)を描いた「紐虫をめぐる奇妙な性質」、そしてすべて(?)がなんとな~く収斂する「波蘭あるいはアレフに関する記録」、くらいでしょうか?
でもイメージの断片が素敵だなぁ! 「紐虫をめぐる~」は石黒達昌氏の作品みたいだし(その立論は、紐虫の存在は、少年と紐虫の二体だけでは維持しきれぬものであるという形をとる。宇宙線さえも透過を許さぬ岩盤の下にあっては、紐虫は存在を維持しきれない。とか
格好良すぎる!)。
なんといってもラストのイメージ!
かのツングースカ爆発を、何かを打ち上げた結果ってーのがもう!
SFマンガ『EDEN』、SF伝奇マンガ『七夕の国』、『夜刀の神つかい』など、ラストになんかドーンと打ち上げるの、多い気がしますね(笑)。

◆「声に出して読みたい名前/中原昌也
……う~ん、よくわからぬ。

◆「ダース考 着ぐるみフォビア/岸本佐和子」
……これはエッセイです。アメリカにある着ぐるみ専門の養成キャンプの話……コワッ!

◆「忠告/恩田陸
……星新一トリビュート企画のショートショートとのこと。うまい!

◆「開封/堀晃」
……『バビロニア・ウェーブ』見つかんないなぁ~。これもショートショート

◆「それは確かです/かんべむさし
……内輪ネタです。

◆「バースディ・ケーキ/萩尾望都
……マンガも一編採用されています。なんか読んだ覚えがあるぞ? 立ち読みかなあ?

◆「いくさ 公転 星座から見た地球/福永信
……たしか豊崎由美氏がほめてたので『アクロバット前夜』読もうかと思ってたんですけど、やっぱ見送ろ。こういう前衛的なやつはどうも苦手な記述師なのでした……。

◆「うつろなテレポーター/八杉将司」
……あ~安心する、こういうストレートなSF読むと。
仮想空間に作られたコロニーに暮らす人工高次認知体のトリスとミリョン。彼らの住むコロニーは、量子テレポーテーションに実験台に選ばれます。しかしテレポーテーションを繰り返す度に、様々な食い違いが生じてきて……。
かの『トップをねらえ!』や『ほしのこえ』的悲哀に溢れる短編です。ま、あっちはウラシマ効果だけど……。

◆「自己相似荘/平谷美樹
……作頭の解説にもあるように、まさに「現代版怪奇大作戦」。もっとどぎつくてもいい気がしますが。

◆「大使の孤独/林譲治
……ザ・ハードSF。『ウロボロスの波動』は読んだけど、『ストリンガーの沈黙』は……読んでない、よな? やっぱり異星人はペラペラしゃべっちゃダメですよね。

◆「The Indifference Engine伊藤計劃
……初伊藤計劃! 亡くなってしまいましたねぇ。『虐殺器官』も入手済みですので、そのうち読みましょう。本編はイーガンっぽいテーマだと思いました。

このシリーズ、なかなか105円コーナーにゃないので、新刊書店で買おうかなぁ?