読了本ストッカー『柳生殺法帳』



2012/11/14読了。

なんか最近、やたら柳生が出てくる本を読んでるな……(笑)。
ご存知新宮正春氏による柳生一族短編集。ほとんど時系列に並んでいますし、おそらく同じ設定上の作品なので、連作短編集といってもいいでしょうか。

◆「柳生石舟斎の拳」
……柳生新陰流の祖、石舟斎宗厳が主人公。太閤検地による隠し田摘発事件をめぐる物語です。松田織部之助vs庄田喜左衛門もかっこいいです。

◆「柳生五郎右衛門の足」
……きました、どマイナー柳生五郎右衛門
意外と(?)書かれているこのエピソードですが、五郎右衛門あっけねえ! 奮戦の上、壮絶な戦死ってのが定説だと思ってたんだけど……。
米子藩中村忠一vs家老横田内膳正」という図式ではなく、「幼年の藩主に縋る旧勢力vs幕府からのお目付役横田内膳正」と「戦場の介者兵法・矢野助之進vs柳生新陰流・五郎右衛門」というふたつの図式を重ね合わせているところがミソ。

◆「柳生如雲斎の鼻」
……尾張柳生の祖、如雲斎利厳の物語。剣聖上泉伊勢守の息子、上泉権右衛門秀信が尾張に現れ、林崎神明夢想流抜刀術の妙技を披露します。如雲斎とその高弟高田三之丞は、その技がまだまだ未熟なのを知りながら、技前を称え、門弟をつけてやり、藩主義直に対して抜刀術を教授させます。
しかしそれによって尾張柳生に分裂の危機が訪れるのですが……。如雲斎利厳の激烈の剣技が拝めます。

◆「柳生友矩の歯」
……先日読んだ『柳生一族』にも収録されてました。

◆「柳生十兵衛の眼」
……本書では、十兵衛の右目は秘伝「燕飛の太刀」の練習中に宗矩によって傷つけられたもの、という設定。しかも本当は失明しておらず、紗を貼って細工をした眼帯をつけることで周囲を欺いているのです。
その十兵衛を付け狙うのは甲賀の忍び。しかしその理由が恨みとかじゃないのが新宮正春!

◆「柳生列堂の肘」
……宗矩の息子たちの中で唯一仏門に入った、のちの義仙和尚である六郎の物語。それにしても、宗冬がどんどん悪いやつ(つーか小物?)になるなぁ……。

◆「柳生兵助の胸板」
……。