読了本ストッカー:インテリは権力に屈したら終わりだ……『王妃の離婚』



2012/7/19読了。

弁護士が注目した事実は実に小さなものだった。が、無意味に重箱の隅をつついていたわけではない。見落としがちな些末な論点が、驚くほど大きな作為の序章となって、あっという間に審理の全体を丸ごと裏返してしまったのである。
知的思考の奥義が披露されたということだ。なんら難しい論理ではない。簡単なようでいて、その実は誰にでも真似できるわけではない。
些細な小事にこだわるとき、人間は往々にして、視野が狭くなってしまうからである。小が大に転換するとき、媒介となるべき秘密の箱は、決まってダイナミックな発想だった。


というように、ミステリっぽく、フランス国王ルイ十二世を原告、妻であるフランス王妃ジャンヌ・ドゥ・フランスを被告とする離婚裁判の行方を描きます。
辻邦生氏の『背教者ユリアヌス』も読んでみなきゃな……。