読了本ストッカー:超絶SF!……『アリス Alice in the right hemisphere』



2012/5/23読了。

地の文で「なんて言ってみたりして」とか使ったり、「おかげで現場の救助活動が、一時期へんてこりんに停滞した」と書いてみたり……シリアスなのに、微妙にギャグを(地の文に)組み入れてくるのが、不思議な読後感を与えます。

七年前「瞭命館パニック」といわれる大量意識障害事件を起こした少女「比室アリス」。
彼女はなぜ周りの人間に物理的な影響を及ぼすことができるのか?
ホラー文庫ですが、SFだと感じました。

この本の優れたところは、アリスの「9.7次元世界観」を解剖学的&生理学的に説明をつけたことではなく(それは異常な状況を提示し、それに決着をつけるSFジャンルなら当たり前)、対する我々の「一次元的世界観」をも「視覚の空間的方向定位機能」をつかって解剖学&生理学的に説明したとこじゃないでしょうか。
これでなんだかわからない現象に説明がついただけではなく、我々の世界観もまた揺らいだ(まさにセンス・オブ・ワンダー)わけですから。
いや、面白かったです。
なんか、ロボットは自閉症になるんじゃないかと……。