読了本ストッカー『フルカワヒデオスピークス!』


2012/3/6読了。

古川日出男氏は、『13』『沈黙/アビシニアン』を読んでストップ中。『アラビアの夜の種族』も3巻とも手に入れているんですが積ん読です。なぜかというと、もったいないから。『13』も『沈黙/アビシニアン』もドンピシャだったんだよなあ……。とはいえ、あんまり振り幅の広い作家のようなので、恐れをなしているのもまた事実。
そんな古川氏の考えを知りたいと本書を読みました。
「同業者とは対談しない」「初対面の人のみ」というふたつのくくりを自ら課した対談集ですので、人選の振り幅が広い広い!
後藤正文(ASIAN KUNG -FU GENERATION)
・iLL(中村弘二
坂本慎太郎ゆらゆら帝国
黒田育世(振付師・ダンサー)
・桑原直(ファッションデザイナー)
大竹伸朗(画家)
和合亮一(詩人)
・岸本佐和子(翻訳家)
・佐藤良明(アメリカ文学者)
茂木健一郎脳科学者)
佐々木敦(批評家)

正直、知っているのは……岸本佐和子氏と佐藤良明氏、茂木健一郎氏くらいか……。
初対面とは思えないツッコミ具合(お互いに)で、面白く読めました。
これは記述師の興味のバイアスですが、やはり「言葉」に関する対談、和合、岸本、佐藤、茂木、佐々木、辺りが非常に面白かったです。

ただし、それ以外の部分、これこそが「古川日出男」の強みか、と感じました。古川氏は「言葉」を介さない表現の形式、舞踊だとか絵画だとかファッションだとか、に深い愛情(?)をもち、その中で「小説」という表現を「選びとった」(同じように言葉を表現に使う「詩」でもなく「小説」を採った)、ここに全てがある気がしました。
注釈などがほとんどない、ある意味乱暴な編集なので、記述師のような門外漢にはよくわからない部分もあったのですが(その意味では、『叱り叱られ』は良くできた対談集だったなあ)、それを上回るパワーがありました。