読了本ストッカー『サイエンス・インポッシブル#SF世界は実現可能か』


2012/2/2読了。

『新世紀未来科学』に続いて、SFのガジェットの実現性を探る本書。

【不可能レベルⅠ】は「現時点では不可能だが、既知の物理法則には反していないテクノロジー。今世紀、もしくは来世紀には可能か」。

【不可能レベルⅡ】は、「物理世界に対するわれわれの理解の周縁にかろうじて位置するようなテクノロジー。実現するとしても数千年から数百万年先」。

【不可能レベルⅢ】は、ズバリ「既知の物理法則に反するテクノロジー。もしも可能になったら、物理学に対するわれわれの理解が根本的に変わることになる」。

意外と【不可能レベルⅢ】ってやつが少なくて驚く。ほんまかなあ……。

【不可能レベルⅠ】
①フォース・フィールド
いわゆる「バリア」ですな。カク氏によれば、一番現実的なものはプラズマ(磁場でバリアの形を成形)+レーザーのカーテン(実体弾を蒸発)+カーボンナノチューブ(だめ押し)の多層シールド。ただこの場合透明なのでレーザー光線は阻止できない。レーザーの放射を阻止するためには、カーボンナノチューブに「光色性(フォトクロマティクス)」を持たせる必要がある。
フォース・フィールドによる浮上も、超伝導体によって可能になる。問題はコスト。超伝導体を冷却するのが大変。常温超伝導体の開発が急務となる。マイスナー効果により、磁石を超伝導体の上に載せれば浮遊するが、それ自体に磁性がないもの反磁性体(例えば水)も浮かせることができる。なんとすでに15テスラ(地球の磁場の三万倍)の磁場で、カエルなどの浮遊には成功しているとのこと!浮かぶカエル、見てみたい!

②不可視化
「不可視化」というと衣服をスクリーンにして背後の映像を投影するタイプを提示して、でもそれでは正面からしか不可視にならない、とかやるのが普通(?)ですが、カク氏は違う!そんなんは後回し。突然「メタマテリアル」から入ります。「メタマテリアル」とは「屈折率を操作し、負の屈折率を実現するもの」。つまりメタマテリアル内の屈折率(真空中の光速を、媒質中で低下した光速で割った値。つまり必ず1.0より大きくなる)を制御して、物体を迂回するように光を進ませれば、その物体は不可視となるわけです。
(本書の時期の)現在では、マイクロ波に対しての不可視化には成功している様子。ただ、メタマテリアル内の構造体は、対象の放射波長より小さくする必要があるため、波長約3センチのマイクロ波はいいとして、波長500ナノメートルの緑色光に対して不可視化するためには、50ナノメートル以下にする必要がある……。

フェイザーデス・スター
スター・ウォーズ』のデス・スターや『スター・トレック』のフェイザーのような、レーザー光線を実現することができるか、を探る章です。
1900年に、ドイツのマックス・プランクはエネルギーは連続的なものではなく、「量子」という小さい離散的な塊として生じると考えた。アインシュタインは、光がそうした量子でできていると考え、これを「光子」と名付けた。
1913年にデンマークの物理学者ニールス・ボーアが原子像を提示した。核を取り巻く軌道、すなわち殻から、もっとエネルギー準位の低い内側の殻に電子が「ジャンプ」すると、電子からエネルギーをもつ光子が放出される。逆に離散的なエネルギーをもつ光子が電子に吸収されると、電子はもっとエネルギー準位の高い外側の殻に「ジャンプ」する。
レーザーでは、まずレーザー光の触媒として特殊な気体や結晶やダイオードなどを用意してから、電気、電波、光、化学反応などの形で外部から媒質にエネルギーを送り込む。こうしてエネルギーが流入すると、媒質に原子が励起されるので、電子がこのエネルギーを吸収して外側の電子殻にジャンプする。

④テレポーテーション
⑤テレパシー
⑥念力
⑦ロボット
⑧地球外生命とUFO
⑨スターシップ
反物質と反宇宙

【不可能レベルⅡ】
⑪光より速く
⑫タイムトラベル
⑬並行宇宙

【不可能レベルⅢ】
永久機関
⑮予知能力