【記述師文庫堂について】記述師は如何にして次に読む本を決めしか?

記述師にとって一番大切なことは<次に読む本が何かわからない>ということです。次にこれを読もうと意識的に決めるのではなく、「おぉ!次はこれか!」という驚きが欲しいのです(笑)。
ポイントは<薄目で!>です。

ある程度本がたまってくる(200冊くらいあると楽しめます)と、まず<単巻もの>と<複数巻、もしくはシリーズもの>とにわけます。

大きく二つにわけると、いよいよ<薄目作業>に入ります。

<単巻もの>はもちろん一冊で完結するもの。これは仕分けたあと、出来うる限りの<薄目>でガシガシと床に積んでいきます。そして脇によけます。

その次は<複数巻、もしくはシリーズもの>に着手。これは㊤㊥㊦などの複数巻はもちろん、シリーズものやまとめて読もうときめた作家などです。さらに続けて読むのが好ましいもの(『我輩は猫である』と『我輩は猫である殺人事件』、『僧正殺人事件』と『僧正の積木唄』など)もこれに含まれます。そしていくつか山を作ります。

まずは、既に複数巻・シリーズが揃った<コンプリートもの>。これは<㊤㊦(二分冊)><㊤㊥㊦(三分冊)><それ以上の巻数のシリーズ>の三つに分けます。そして<非コンプリートもの>。

次に、本棚の上部の天井との隙間に本を積む作業に入ります。まずは、<非コンプリートもの>。これはまだ読まないわけですから、<薄目>でなくともいいのでガシガシと積みます。

その隣に<コンプリートもの:シリーズ>を積んでいきます。この場合、かなりの巻数のものもあるので、<薄目>でもなんとなくなんのシリーズかわかってしまいます(当たり前)。その場合は<なるべく意識を飛ばす>ことで対処します。何のシリーズかわかってしまっても、それを積んでいる自分を意識しないようにする、とでも申しましょうか……。ある種の<積ん読の境地>に達するあり方で御座います。まあ、高いところでの作業となりますので、あまり<薄目>や<意識を飛ばす>ことに拘ると事故を招くのでそこそこにしなければなりませんが、しかし!今後の読書に驚きをもたらすためには、頑張らねばなりませぬ。

そして次に<コンプリートもの:㊤㊥㊦>、さらに続けて<コンプリートもの:㊤㊦>を、同様に<薄目>でガシガシと積みます。そして最後に、先ほどの取り分けておいた<単巻もの>をこれまたガシガシとランダムに積んでいきます。
このときはさらに十分に<薄目>で行うこと。気を抜くとついついタイトルを見てしまい、なんとなく並びを覚えてしまいます。そうなると、特に<単巻もの>の場合、読書の楽しみが大幅に奪われてしまうことになりかねません。ここは念には念を入れて、<薄目>+<意識を飛ばす>のダブル技で挑みましょう。

そして出来上がった究極の積ん読がこれ。
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本棚の上部の隙間、というのがポイント。この高さだと表紙などはまったく見えないため、手にとる瞬間まで楽しめます。床に積んであるとどうしても表紙が目に入ってしまいますから。

<単巻もの>→<コンプリートもの:二分冊>→<コンプリートもの:三分冊>→<コンプリートもの:シリーズ>→と順番に読んでいきます。2011年6月現在、<単巻もの>を読み終わって→<コンプリートもの:二分冊>に突入しています。

そうこうしている間に買った本がたまってきますので、<非コンプリートもの>に行き着く前に、また<積み替え作業>が楽しめることでしょう。

また<単巻もの>あたりを読んでいるうちに、揃えたものの記憶も飛んできますので、「おぉ!次はこの本か!」という驚きから、「おれ、こんな本もっとったんか!」という驚きに変化してきます(笑)。

次に読む本を手にとったら、すぐにカバーをかけてしまうのも良いです。文庫は裏の解説や、帯で結構ネタバレしているものも多いので、見ない方が良いからです。

これらの作業を抜かりなく行うことで、読書の楽しみが何倍にもなります。