読了本ストッカー『蒲団・重右衛門の最後』

蒲団・重右衛門の最後
2011/10/26読了。

「蒲団」「重右衛門の最後」の二短編を収録した短編集です。
紅野敏郎氏の手による注解が……なんだか面白い。「この作品の終末の部分の伏線とみられるところ」などネタバレ?的な注解……なんか面白い。

福田恆存氏の解説には、

おもうに『蒲団』の新奇さにもかかわらず、花袋そのひとは、ほとんど独創性も才能もないひとだったのでしょう。かれは文学の新機運を待望しながら、当時の作家、あるいは作家志望者のだれよりも、多くの外国文学を漁っておりましたが、二葉亭がツルゲーネフから、独歩がイギリス浪漫派から影響を受けたという意味では、花袋は自分の読破した外国文学と本質的なめぐりあいというものを経験しなかったひとです。なぜなら、かれの内部には、なにかを選びとらずにいられないほどの切実な問題意識がかけていたからです。

ちょっ……言い過ぎじゃ?最後は少し持ち上げてますが。福田氏は、花袋は芸術家に憧れる単なる<文学青年>であり、「蒲団」での告白などは悪ぶってみたかったポーズでしかなかった、と言いたいようですね。

自然主義文学」も「私小説」も最も苦手とする分野ですが、「蒲団」は、現代から読むと女弟子におかぼれして勝手に煩悶するとこを嘲笑うべきなのでしょうか?
「重右衛門の最後」のほうが好みでした。少しミステリ的な味付けがあったので……(笑)。